慣れると早い(kn) ページ14
その日は運が悪かった。
豪雨で数メートル先までしか見渡せず敵に囲まれていることに気付くのが遅れた。
インカム越しに避難経路を指示するロボロは少し焦っていてすぐにゾムとシャオロンに応援要請をしている。
味方が来るまでどれぐらい掛かるだろうか。
囲まれている以上、物陰でやり過ごすことも不可能そうだ。
五感を全て研ぎ澄まし、相手の位置をなんとなく把握する。
激しい雨音のせいで足音はあまり聞こえない。
ただ、銃がカチャカチャと身体に擦れる音は僅かに聞こえる。
敵は３人…いや、４人か？
姿が見えないのは敵も同様で慎重に探しているのがよく分かった。
大きな岩陰に身を潜めると視界の先にピストルを持った男と目が合ってしまった。
「見つけ…！」
大きな声を出される前に素早く身を乗り出し敵の持つ拳銃を引き剥がす。
銃は持っているだけで強いような気がするが、近接戦ではほとんど役に立たない。
サバイバルナイフを抜くと銃を引き剥がした勢いのまま首に向けて刺し込んだ。
そのままグルッとナイフを半回転させると、敵は血を吹き出しながら倒れた。
「あと３人…」
「動くな！」
背後から数メートル。
カチャリと銃を構える音がした。
両手を上げ、持っていたナイフをそのまま地面に落とす。
緩くなった地面にべちゃりと音を立ててそれは少しだけ沈んだ。
「我々師団の者だな！」
「だったらなんや」
ゆっくり敵の方に振り向く。
雨音がうるさい。
雷まで鳴り始めた。
敵も大きな声を出しながらジリジリと距離を詰めてくる。
人数は２人だった。
「一緒に来てもらう！抵抗するな！」
「あ〜ハイハイ。武器も捨ててもうたし、逆らえへんよ」
そう言いながら上げた手をひらひらと振る。
無抵抗をアピールしながら近づいて来る男達に声を掛けた。
「俺らの領土を土足で好き勝手荒らしとるみたいやけど、痛い目見る前にやめといたらどうや？なぁ？」
敵の視線を集中させる。
案の定、男のうちのひとりは癇に障ったのか食ってかかる。
「お前達の領土？元々は我らから奪ったものだろ！」
「ああ、せやったっけ？弱すぎて話にならんかったさかい、すっかり忘れてたわ」
貴様！と男は銃を構え直す。
すると敵の背後から人影がにゅっと現れた。
ひとりは後頭部にナイフを刺し、もうひとりは首を締め上げそのまま捻って息の根を止めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
味鈴(プロフ) - 紫苑ちゃぬさん» ご感想、ありがとうございます。気楽にだらだらのやっていますがよろしくお願い致します！ (2023年4月26日 23時) (
レス) id: 0263eefc6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑ちゃぬ - やばい、、、タイプの小説だぁ、、、 (2023年4月26日 21時) (レス) @page9 id: b2c2939cca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：味鈴
| 作成日時：2023年4月20日 20時
