【MHA】拝啓、奪うだけだった私へ【相澤消太】 (ページ7)

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植え付けられたページ7

no side

会議が終わり、千与は時雨と共に部屋を出ていった。

誰もいない廊下に響く、バイブ音。

時雨がポケットからスマホを取り出す。

時雨「げげげ。上司からだ……。ちょっとごめんね。」

会話を聞かれるのがまずいのか、千与から離れる時雨。

時雨を待とうと、千与は窓越しに中庭を見ていた。

(鳥だ……)

刹那。

三羽でいた鳥の一羽がパタリと倒れる。それを心配そうに、周りをうろつく二羽。

(皆まとめて…)

その時だった。

「……き……鈴…先……鈴木先生！」

千与はハッとして、横を向く。

パタリと倒れた鳥は元気そうに羽ばたいていった。

『い、イレイザーヘッド先生……。何でしょう。』

相澤「すみません。うちのクラスで怪我をした生徒が保健室に行ったと思うので、様子を見に行ってくれませんか。俺はちょっと用事が。」

『分かりました。』

相澤「ありがとうございます。」

そのまま横を素通りしていく。しかし、相澤はチラリと…中庭を見たのであった。

時雨「お待たせ。」

『ごめん私、保健室に行ってきてほしいって頼まれちゃって。』

時雨「誰に？」

『イレイザーヘッド先生。』

時雨は驚いた顔をする。

しかし、内心ホッともしていた。

時雨(普通に話せてるようで何よりだ。)

『先に行ってて。』

時雨「うん。」

二人は次の曲がり角で別れた。

「おい。」

時雨「なんでしょう。イレイザーヘッド。」

相澤「お前、どこまで知ってる？」

時雨「さぁ？なんのことやら。」

いつもの声とは違う声で、時雨は相澤と話す。

完全に仕事モードである。

相澤「お前…何者だ？」

時雨「何者って。簡単じゃないですか。今年ここに来た新任の先生ですよー。僕も暇じゃないので、失礼します。」

時雨はそのまま歩いていく。その顔は少し楽しそうだった。

時雨(君に千与の情報なんて、教えてあげなーい。しばらくはねー。それよりも。)

時雨はゆっくりと足を止めた。

時雨(遠くからでよく見えなかったけど、あの時…千与は個性を使って、鳥を殺してたよな。生き返らせてたけど。無意識なのだろうか。

植え付けれてしまったものを払うのはそう簡単じゃないか……。

いっぱい傷ついて…利用されて……。)

彼女は千与の事を大切に思っている一人なのだ。