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色々と考え事をしてしまい、中々本のページが進まない所で、ローズハート君が
「ね、ねぇ、その…、ボクの事は名前で呼んでくれないかい…?」
と話しかけてきた。
…え?
トチ狂ったの…?
そんな私の気持ちが顔に出ていたのか、
「いやっ、別に特別意味があるわけではないんだ…。」
と言うローズハート君。
「ローズハートって、長いじゃないか…。だから、名前で呼んでくれた方が助かるというか…。」
あぁ、成程。
彼の顔が若干赤い。
ということはそういう事だ。
彼はまだ私を諦め切れていないんだろう。
自意識過剰と思われるかもしれないが実際にこの状況になると、どうもそうとしか考えられない。
まぁ特に問題は無かったので、
「あぁ、うん。分かりました。」
とだけ言ってまた私は読書を始めた。
・
・
・
特に何事も無く、というか何かあっても困るのだが無事に午前中の授業が終わり、皆昼食を取る為に食堂へ向かい始めていた。
そして私も食堂に着き、購買で昼食用にサンドイッチを二つ買ったので、さぁどこで食べようかと周りを見渡していると、
「一人ならボクらと一緒に食べないかい…?」
と、またローズハート君から声がかかる。
しかも彼の後ろにはクローバー先輩とダイヤモンド先輩も居る。
明らかに断わらせる気の無いお誘いに私はため息をつき、
「…良いですよ。」
と答えた。
先輩二人は少し気まずそうな顔をしており、クローバー先輩からは小声で
「ごめんな、ウチの寮長が」
と言われてしまった。
微妙な空気の中四人で黙々と昼食を食べ、先輩二人は食べ終わるとそそくさとこの場を去ってしまった。
ローズハート君と二人並んでベンチに座り、特に何を話すでも無くただその場に居るだけ。
私には一体彼が何をしたいのか理解できなかった。
そろそろ教室に戻ってもいいだろうか?と思いベンチから立ち上がろうとすると、制服の裾を引っ張られるような感覚がした。
私は驚いて、自分の斜め下をバッと振り返って見た。
するとローズハート君が、俯いていて顔こそ見えないものの、頬からぽたぽたと伝う水を見て、彼が泣いているという事が分かった。
えぐえぐと嗚咽を漏らす彼は、私の腰辺りに顔を押し付けていた。
おかげで制服が濡れてしまったが、今はそんな事気にならないくらいに私は驚いていた。
貴方は本当に何がしたいんだ。
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灰色(プロフ) - あきまるさん» うびゃあああきまるさんだ…!ウレチイ!!!!こちらこそ読んでくださってありがとうございました…! (2023年1月7日 19時) (レス) id: 23840e3b5f (このIDを非表示/違反報告)
あきまる(プロフ) - すげぇ今更だけど読み終わりました。リドルくんのメンヘラ具合と主さんの愛情の受け取り方がいい感じに絡み合ってあのラストになるのがとても切なくて素敵です…!ありがとうございました。 (2023年1月7日 19時) (レス) id: 108e4cfb5a (このIDを非表示/違反報告)
灰色(プロフ) - しろつめさん» うれちい…!うれちい…!此方こそ読んでくださって本当にありがとうございました! (2022年5月25日 23時) (レス) id: 02fb3ffb1f (このIDを非表示/違反報告)
しろつめ - 蛙化苦し〜〜!?って思ってたら夢主が思ったよりかわいい心情でとてもすきだったし面白かったです……ラストも素敵! 完結おめでとうございます、素敵な作品ありがとうございました! (2022年5月25日 23時) (レス) id: a47367aeb2 (このIDを非表示/違反報告)
灰色(プロフ) - ありがと〜!こんな訳わからん小説好きっ手言ってくれてうれしいます… (2022年5月24日 16時) (レス) id: 02fb3ffb1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灰色 | 作成日時:2022年2月28日 20時