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それぞれの思惑3 ページ29

やっちまった。やっちまった!
色々なことがありすぎてすっかり後回しにしていた。

俺は高専を飛び出し、呪霊がいそうな場所を探す。

早く見つけないと。


ドクンと脈が体を鼓動させる。


始まった。



締結が守られないと科せられる罰。



「ッ……。」


少しずつ空腹が襲う。


餓者髑髏が怒っている。


手頃な廃ビルを見つければ、直ぐに餓者髑髏を召喚する。

「遅くなって悪い……。中にいる呪霊を食べておいで。」

餓者髑髏に弱っている所は見せられない。嫌、見せてはいけない。
一筋の汗が頬をつたう。

餓者髑髏はカタカタと骨を鳴らすと廃ビルに向かっていった。

少し安堵してその場にすわる。

締結は互いの利害関係の一致。それがもし締結した俺に非がある時、餓者髑髏の妖力が俺の体を蝕み、俺が死ぬ。逆の場合は利害関係から主従関係へと移行し俺に逆らえなくなる。

先程まで空腹だった感覚は無くなっていく。餓者髑髏が呪霊を貪っているのだろう。

するとそこへ伏黒が走って俺を追いかけてきていた。

「突然どうしたんだ。」

「あー……。悪い。この餓者髑髏がお腹空かせててさ。定期的に餌をやらないと俺が食われるんだ。」

伏黒は「そうか」と俺の隣に座る 。

「お前もまだ飯食ってないだろ。これが終わったら行くぞ。」

「え?お、おぉ。」

伏黒は餓者髑髏が呪霊を食い終わるのを一緒に待ってくれた。

変な感じだ。

俺の事なんて放って置けばいいものを。なんなら俺は妖怪を扱う。そんなやつを呪術師はよく思ってないはずだろ?

伏黒の行動に理解が出来なくて聞いてしまった。

「俺を嫌いじゃないのか?」

「なんで嫌いになるんだ。Aは俺の命を助けてくれた。それに、呪いの元となる妖怪を使役してても呪霊を祓ってるなら何も思わない。」

「人間ってそういうものなのか?」

「さぁ?」



餓者髑髏が満足気な表情で戻ってきた。

「さ、行くぞ。」

伏黒は立ち上がって歩き出す。

「あ、あぁ。」

俺は伏黒について行った。



誰かと一緒にご飯を食べるというのは、温かいようで心の中がむず痒いものだった。

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紫陽花(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます!読みにくかったり文章に変な点があればご指摘してください!応援のコメントとても心が温まりました。 (2020年12月20日 15時) (レス) id: 3b41d3a8b8 (このIDを非表示/違反報告)
- 続き楽しみにしてます。(*^w^*) (2020年12月20日 11時) (レス) id: 736aad74b7 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - ぽんさん» ご指摘ありがとうございます。対応させていただきます。 (2020年12月19日 0時) (レス) id: 3b41d3a8b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫陽花 | 作成日時:2020年12月18日 22時

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