プロローグ ページ1
それは突然のことだった。
おかしな身体の変化。
それで、宝物が全部消えた。
周りから化け物扱いされるのも、おかしくはない。
だけど、怖かった。
寂しかった。
哀しかったのを、まだ覚えている。
だけど、私の孤独感を助けてくれたのが。
一緒に施設で暮らしている女の子だった。
「ねぇ、何読んでるん？」
『………………私に言ってるの？』
「アハハ、アンタしかおらんやろ！」
元気な関西弁で喋りかけてくる女の子。
その瞳は、黒くて綺麗だった。
「どうして眼帯しとるん？」
『え……………うーん…私、目がおかしいから』
「へぇー、それで化け物って言われてるん？」
『う、うん…………』
その子も、アイツらも、私の目の色を見たことがない。
その秘密は一生隠す。
「名前、なんて言うんやったっけ……えーと」
『お、鬼塚………鬼塚 A！』
「へぇー！」
一人でうなずく彼女。
笑顔でこういった。
「カッコいい名前やな！Aちゃん！」
『……………そ、そうかな』
すぐ慌てて本を読む。
すると、彼女は本を見た。
「あー！"ライオンと魔女"！ナルニア国際物語！ピーターとスーザンとルーシィとエドマンドの冒険のヤツやろ？！」
『う、うん………………』
彼女の名前は "三条 加奈子"。
彼女は親がいなくて、同じ施設で暮らしていた。
こうやって初めて話したのが"19○○年の12月18日"だった。
だけど、10年後。
『加奈子ッ、大丈夫だよぉ…………私が、私が助けてあげるからッ…………………』
親友の加奈子は、病にかかった。
元々金のない私達は、どうしようもなかった。
しかし、私は金を稼ぐことでいっぱいだった。
『加奈子、まってて………私が金を稼ぎに行ってくるからッ……………』
加奈子、助かったら、加奈子の行きたいところに行こうね。
荷物を準備して、新しいところへと出かけた。
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