159話 ページ15
鬼道さんからいつも通りメールで電話の了承を取りに来たので、そのまま電話で話す。
この時期で電話、ということは土門君の件だろうか。いや、でも彼スパイだし、バレないようにするのでは。
「はい、もしもし」
『……その、なんだ。怒っては、ないだろうか』
「はい？」
いきなりの突拍子も無い言葉に思わず素で疑問を返す。
なんで怒る怒らないの話になったのか。
『その、転校生の件だが』
「ああ、来ましたね。土門君で、サッカー部に入った……それがどうかしましたか？」
『その、お前に知らせなくて悪かったと』
「えっスパイってバレちゃまずいんじゃないんですか」
『やはり分かってるんじゃないか……』
そうやっぱり、と声を出されて今の会話内容を反芻してみると、確かにはっきりとスパイだとか潜入だとかは口にはしていなかった。
誘導尋問じゃないか。
それにあっさり引っ掛かる私も私だけども。
いや、鬼道さんの声音に焦ったってのはあるが。
「いや……まあ……うーん……私は良いですけど気を付けて下さいよ。流石に庇えないのでその辺り気を付けてって本人に忠告しておいてください」
『潜入先の人間から忠告されるスパイってどうなんだ……。それと、時々お前の懐の広さが心配になるんだが』
その言葉に目をぱちくりとさせた。
いや、別に懐は結構普通の広さだと思う。
いくら周りより少し年上とはいえ、私はまだ人生歴十七年に今世を足した年齢である。人生においてはペーペーの新人だと思われるが。
「いや、こんなに広いの鬼道さん関係ぐら、い……」
何も考えずに喋ったところだが、今割と恥ずかしいこと口走ったな私。
途中で気付いて言葉が尻すぼみになる。
『……それは、まあ、すまない。あー……ありがとう……？』
ほら鬼道さんも戸惑ってるじゃないか。
撃沈しそうになる頭をフル回転させ、私は言葉を紡いだ。
「スパイに関しては基本ノータッチで行きます！基本は見逃しますが見過ごせないことがあればすぐさま止めます！その辺りは遠慮無くでお願いします！それではお元気で！」
そのまま電話を切り、椅子にもたれかかって脱力した。
「……最近頭の中で考えてることが口に出やすい気がするなあ……」
もしかして兄さんの影響でもあるのだろうか。
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黒牡丹(プロフ) - 焔さん» 好みと言っていただけて本当に嬉しかったです。書けないことになれば、とにかく頭の中に思い描いていたネタだけでも箇条書きにしてでも投稿はするつもりです。嬉しく優しいお言葉、本当にありがとうございます。 (2020年7月23日 12時) (
レス) id: 51616291f0 (このIDを非表示/違反報告)
焔 - 黒牡丹さん» レスありがとうございます。黒牡丹様が帰ってきてくださって、今の心境を教えてくださっただけでも嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年7月14日 22時) (レス) id: 3ce071c9ce (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 焔さん» コメントありがとうございます。お話の続きを私自身が書くのは無理だと悟ってしまいました、申し訳ありません。なんとかして、彼女の物語を完結させたいと思います。どうか、よろしくお願いします。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さん» コメントありがとうございます。何度もコメントしてくださっていたのに、本当に申し訳ありません。私の手から離れるかもしれませんが、それでも一度思い描いた物語として皆様の元に届けたいと思っています。読んで頂いて、本当にありがとうございます。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます。こんな形でのコメント返信申し訳ありません。せめて、物語として皆様の目に触れるようにしたいと思います。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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