158話 ページ14
『データの魔女と接触しました』
「何？」
俺はその言葉を聞いて眉を動かす。
ネズミとして雷門中に潜り込ませた土門から、電話越しにそう報告が聞こえてきた。
『ええ、雷門中に在籍していたと総帥から伺ったので、そのまま接触し、話を聞きました』
「……詳しく頼む」
俺がリコと連絡を取っていることは総帥でさえ知らない。
だから、周りの人間からしたら俺が個人的に調べてでもいない限り、データの魔女の居場所を知らないことになっている。
だから、土門にリコのことは伝えなかったが……やはり、総帥はお伝えしたのか。
いや、それよりも。
『──という感じで』
「……」
『鬼道さん？どうかしましたか？』
俺は頭を抱えた。
ちょうど俺の部屋の中で人目が無くて助かった。
思わず唸りそうになるのを堪える。
何せ、以前俺はあいつとこんな話をしたことがあるからだ。
＊＊＊
「でも私生活では、必要になった時以外はこの目は使わないようにしてるんです」
「やはり、魔女だとバレてしまうからか？」
「ああ、いや。えっと……この目、本当に相手の体の情報なら大体分かるんですよ。だから、その……他人の嘘とかも分かっちゃって」
「嘘？」
「はい。やっぱり、そういうのって……本来分かっちゃいけないことじゃないですか。だから、あまりやると自分の中のモラルのハードルが低くなる、というか」
「成る程……」
「だから、使うとしても相手にことわってから使うようにしてます」
＊＊＊
会話内容を思い浮かべて乾いた笑みを浮かべた。
あいつは案外そういう所はしっかりしている。
それに、頭が回るから警戒心を持つべきところで持つことが出来る。現に一年前の試合の時も顔がバレないように帽子を被っていた。
そのリコが、初対面の土門に目を見せて、しかも情報を漏らした。
そして、そのあと目を見せたまま話をして、その質問が、噂の出所は同級生か、それとも前の学校の監督か。
「相手に回すと本当に厄介だな……」
これは確実に、バレている。
流石にこの時期に転校してきて、サッカー部に入部したいというのは怪しいだろう。
だが会って数分で見破るなんて、有能過ぎてこわいくらいだ。
『鬼道さん？』
「……いや、何でもない。引き続き務めろ。バレないように気を付けてな」
『了解しました』
電話を切った俺は溜息を吐いた。
……やはり、謝った方が良いのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒牡丹(プロフ) - 焔さん» 好みと言っていただけて本当に嬉しかったです。書けないことになれば、とにかく頭の中に思い描いていたネタだけでも箇条書きにしてでも投稿はするつもりです。嬉しく優しいお言葉、本当にありがとうございます。 (2020年7月23日 12時) (
レス) id: 51616291f0 (このIDを非表示/違反報告)
焔 - 黒牡丹さん» レスありがとうございます。黒牡丹様が帰ってきてくださって、今の心境を教えてくださっただけでも嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年7月14日 22時) (レス) id: 3ce071c9ce (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 焔さん» コメントありがとうございます。お話の続きを私自身が書くのは無理だと悟ってしまいました、申し訳ありません。なんとかして、彼女の物語を完結させたいと思います。どうか、よろしくお願いします。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さん» コメントありがとうございます。何度もコメントしてくださっていたのに、本当に申し訳ありません。私の手から離れるかもしれませんが、それでも一度思い描いた物語として皆様の元に届けたいと思っています。読んで頂いて、本当にありがとうございます。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます。こんな形でのコメント返信申し訳ありません。せめて、物語として皆様の目に触れるようにしたいと思います。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
