41話: 崩壊 ページ42
後半が始まってしばらくすると、違和感を感じた。
鬼道さんが指示を出しているのだが・・・なんというかどこかちぐはぐで、前半のうちに見せた卓越なゲームメイクをしているとは言い難い。
だというのに。
(何だろう、この嫌な感じは)
まるで内側からじわじわと侵食してくるような不安感。理性は大丈夫だと言っているのに、頭の何処かが警報を鳴らして止まない。
(落ち着け、考えろ、考えろ)
かぶりを振って思考を再開する。
思考を止めるな、最善ルートを弾き出せ。
すると鬼道さんが指示を出して、選手がパスを・・・あ、れ？
かちり、と頭の中が止まった。
(待って、何で、そんな戦法・・・)
どう考えてもここでその戦法は愚策のはずだ。デメリットしか無いその動きは誰がどう見てもおかしい。
そんなの、鬼道さんなら誰よりも良く分かってるはず、なのに。
何で、どうして、と思った数瞬に思考が中断され、また一から戦法の練り直し。
天帝の目も今ので一旦停止した。
ああもう面倒な。
もう一度、鬼道さんの策を予測して指示を・・・
また、かちり、と止まる。
予想だにしないその動き。
じわりと滲んだ汗が頬を流れ落ちていくが、そんな事を気にする余裕も無かった。
(待って、まって、まっ、て)
鬼道さんの、策が、予想できな、い？
明らかに、愚策でしか無い策ばかりを重ねていく鬼道さんの指示。
なのにーーーーー何で指示が、出せない？
予測がつかないものに、ここまで恐怖を掻き立てられたのは初めてだった。
今まで何だってこの頭脳だったらある程度予測がついた。
ここまで、「分からない」というものは怖かっただろうか？前世の名残などとうに消え失せてしまったのか私は？
(いや、落ち着け)
大丈夫、体力的に相手がこんな策を続けられる訳がない。すぐに音をあげるはずだ。
しばらくすればすぐに元のような戦術になる、ならば私の判断は、なるべく体力の温存を考えた指示。
戦術を組み立て、自分のチームに指示を出そうとした、時だった。
ぶわり、と悪意の目線が自分へと降りかかっていたのにようやく気付いた。
自分のチームの選手たちの、軽蔑の視線。
またじわりと汗がにじむ。
ばくばくと心臓が嫌な音を立てる。
彼等は、自分の独断で動き始めた。
ーーー
後書き
遅くなってすいません(土下座)
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黒牡丹(プロフ) - カノンさん» 遅れてすみません、コメントありがとうございました。鬼道さんは私もとても大好きです。なんとかくっつくところまでは。 (2020年8月11日 22時) (
レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - はじめまして！私も鬼道さんが大好きです！続きが楽しみです！ (2019年9月25日 10時) (レス) id: e557ed7412 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 美怜さん» 行間ですか……。やっぱり結構開けた方が読みやすいですか。ちょっと書き方見直してみますね。表現力があると言ってもらえてとても嬉しいです。こうやっての人からの評価って貴重なので、今後の参考にさせていただきます。ありがとうございました！ (2019年5月21日 22時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 美怜さん» ほむほむ、成る程…コメントありがとうございます！設定は割と初期段階で決まってて簡単に決めたので、そう言われると何だか不思議な気持ちですねえ。実は他の小説ってあまり読んでないので、設定の良し悪しあんまり分からないのでそう言ってもらえるとありがたいです。 (2019年5月21日 22時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
美怜(プロフ) - 2つ目は…そうですね、行の間が少し狭いと感じました…。少々狭くて読みづらいと私は個人的に感じました。ですが、文の表現力はとてもあったと思うので、行を開ければとてもいい作品だと思います！！ (2019年5月20日 21時) (レス) id: 249a1a4653 (このIDを非表示/違反報告)
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