39話: アンクルブレイク ページ40
目を瞬かせた後、すぐに試合に頭を切り替える。
(落ち着けオレ。今はそんなことを考える場面じゃないだろう。)
ボールを持ったまま上がっていく。
やはり技術自体はそこまで高くないし、必殺技を毎回使わないでも抜く事はできる。
このままあがろうとした時、前方にあのマネージャーが見えた。
帽子の下から少しだけ覗く金色の右目。
そこではたと思う。
(あいつの目は、金色だったか？)
そんな思考も一瞬で流れ、マネージャーを抜こうと思い、走った。
マネージャーの能力を横目で見ていたが、身体能力は女子相応の・・・いや、むしろ悪い。
だから特に気にせず避けようとした。
すると、相手はこちらの動きを予測したかのような動きでボールをとろうとしてくる。
確かに、観察眼は確かのようだ。
(だがまぁ、鬼道の方が上だ。)
こちらの動きについてこようとしているが、動きが遅い。
右、左、と降り落とすのに面倒な行程を挟むが、これで抜ける、と思った時だった。
「・・・っえ？」
すとん、と身体がバランスを崩し、柔らかな芝生の上に尻餅をついた。
転んだ、と認識したのは金色に輝くマネージャーの目を見上げた時だった。
金色と黒色のオッドアイ。
中々世間では見ない珍しい色合いではあるが、一瞬その目に呑まれた。呑まれてしまったのだ。
どこか威圧感を感じさせるその目に、蛇に睨まれたカエルのように動けず、立ち上がれない。
その隙にマネージャーはパスを出し、抜かれた。
結局、オレが動けたのは、オレを呼ぶ鬼道の声が聞こえた時だった。
あの後も、マネージャーを抜こうとすると、必ず自分からバランスを崩し転んでしまうという不可解な現象は続き、前半は終了した。
観客も、最初は偶然だと思っていたようだが、三回続くと流石に異常さに気付いたようだ。
途中から「ファールではないのか」や「足を引っ掛けてたのでは？」などと言っていた。
が、抜かれた本人から言わせてもらうと、オレは足を引っ掛けられてはいないし、身体に触れられてすらいないのだ。
ただ、気付けば全員足が言う事を利かず、バランスを崩して転んでいた、とかけられた全員がそう口を揃えて言った。
だからファールがとられるはずもない。
その趣旨を鬼道に伝えた。
すると、鬼道は考えるように顎に手を当て数瞬考え、口を開いた。
「一つ、思い当たる節がある。」
「サッカーであるとは聞いたことは無いが・・・アンクルブレイク、という現象がある。」
鬼道はそう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒牡丹(プロフ) - カノンさん» 遅れてすみません、コメントありがとうございました。鬼道さんは私もとても大好きです。なんとかくっつくところまでは。 (2020年8月11日 22時) (
レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
カノン - はじめまして！私も鬼道さんが大好きです！続きが楽しみです！ (2019年9月25日 10時) (レス) id: e557ed7412 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 美怜さん» 行間ですか……。やっぱり結構開けた方が読みやすいですか。ちょっと書き方見直してみますね。表現力があると言ってもらえてとても嬉しいです。こうやっての人からの評価って貴重なので、今後の参考にさせていただきます。ありがとうございました！ (2019年5月21日 22時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 美怜さん» ほむほむ、成る程…コメントありがとうございます！設定は割と初期段階で決まってて簡単に決めたので、そう言われると何だか不思議な気持ちですねえ。実は他の小説ってあまり読んでないので、設定の良し悪しあんまり分からないのでそう言ってもらえるとありがたいです。 (2019年5月21日 22時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
美怜(プロフ) - 2つ目は…そうですね、行の間が少し狭いと感じました…。少々狭くて読みづらいと私は個人的に感じました。ですが、文の表現力はとてもあったと思うので、行を開ければとてもいい作品だと思います！！ (2019年5月20日 21時) (レス) id: 249a1a4653 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
