病み少年に会いました［BL］【オリジナル】

12.噂の彼 ページ14

夕闇咲夜がヤバイ奴だったと判明してから一週間近く経った頃。彼は校内での有名人になっていた。

……ただ、有名人とはいえ、彼に近づく人はいない。彼を見てはヒソヒソと何か言うだけ。

……

それもそのはず、うちの剣道部でも話していた奴がいたように、夕闇を中学の時から知っている奴が、夕闇がヤバイ奴だという話を周りに広めてるみたいだ。

噂とは実に怖いもので、嘘か真かもわからない事が、あちこちで話されている。

別に俺は関係ないけど……

正直、心配だ。

もちろん、周りの噂に傷ついてるんじゃないか？という心配もある。

けど、それ以外にも心配なことがあるんだ。それが、噂の内容。

「リスカしてんだって。かなり病んでるっぽい」
「なんか放課後いっつも植物とか動物に話しかけてるらしいんだよね……」
「今にも死にそうな顔してね？」
「ねぇ、あの顔の痣。あれ、自分でやったんでしょ？」
「え、あれ虐待って聞いたけど……」

正直、事実かどうかなんてわからないやつばかり。実際、もう既に痣の話は嘘。

けど、それ以外、どれもこれも精神的に不安定そうなものばかり。

何かあってからでは遅い。もし仮に自分を傷つけるなんて事を夕闇がしてるなら今すぐにでも止めたい。

そう思った俺は、口の中で小さく呟いた。

「……よし。やるか」

……とりあえず、夕闇咲夜と話してみよう。

拒否られたけど、そんなんで落ち込んでる場合じゃない。俺はあいつと話して真実と、実際に喋ればどんな感じなのか確かめたい。

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