【短編集】上弦＋αには妹弟がいるようです

　其の伍 ページ39

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　─── 12月20日 ───




童「ねえ､楓ー」


楓「どうしました？」




　教祖としての仕事が一段落した上弦の弐・童磨に声をかけられ､その弟たる楓は書類整理をしていた手を止めた。



　ちなみに姉である紅葉は信者の話し相手をしている。



童「もうすぐ西洋の祝祭(クリスマス)の日だろう？」


楓「そうですね」


童「つまり､神の誕生を祝う日だ」

楓「神ではなく神の子(キリスト)ですけどね」


童「そう､それ！」





　ばっとクッションから身を起こす兄に､楓は思わず首をかしげる。


　が､すぐに質問の意味を理解した。




楓「教祖である自分が他教の催し(イベント)に参加して良いのか､という事ですか？」


童「流石は楓。俺に似て賢いねぇ。そう､そうなんだよ！」


楓「....................」




　.....童磨本人に悪気は無いのである｡









楓「別に良いと思いますよ､俺は」


童「そうだよね！神云々は置いといて､楽しいことはやった方が得だもんねー！」




　ぼふっと再びクッションに倒れ込んでクリスマスの計画を呟く兄を横目に､楓は書類整理を再開した。



　





　25日に問題が起きない事を､心の底から祈りながら。
　

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