【文スト】大人びている少女、武装探偵社にて奮闘中

八話 人生万事塞翁が虎 ページ10

そして、五杯ごとに積み上げた茶碗は、既に六つの山が出来敦は太宰の宣言通り、三十杯の茶漬けを食べていた

A「凄い食欲ですね…」

呆気に取られているA、それを他所に、大きく膨れた腹を幸せそうに叩き

敦「あ〜食った〜もう茶漬けは十年は見たくない」

それを聞いた国木田は再び額に青筋を立て

国木田「お前っ…人の金でこれだけ食っておいて、よくもまぁぬけぬけと…」

再び説教を始めそうな国木田を他所に、敦は話す

敦「本当に助かりました」

国木田「…？」

その反応に、流石の国木田も言葉を呑んだ

敦「孤児院を出て、ヨコハマに来てから、食べる物も寝る所も無く、あわや餓死するかと…」

それを聞いた太宰は

太宰「君、施設の出かい？」

その質問に敦は、少し視線を伏せて

敦「出というか…追い出されたんです…」

A「どうして…」

太宰「それは薄情な施設もあったものだね」

同情の目を向けているAと太宰に国木田は

国木田「おい太宰、A、俺達は恵まれぬ小僧に慈悲を垂れる篤志家じゃない、仕事に戻るぞ」

手帳を二人に見せるように上がる国木田

A「でも…」

Aは、敦を心配そうに見る

敦「そう言えば、さっき軍関係の依頼と仰っていましたが、何のお仕事を？」

空気を変えるように質問をする敦、それに答えたのは

太宰「なぁに、探偵だよ」

太宰だった、その返答に敦は

敦「探偵？」

それに対して、補足を加える様に

A「探偵と言っても、ペット探しや不貞調査ではありませんよ？」

国木田「異能集団、武装探偵社と言えば、聞いた事があるのではないか？」

敦「…！」

二人の説明に驚く敦

敦(風の噂で聞いたことがあった。武装探偵社…曰く、軍や警察に頼れない危険な仕事を専門にする探偵集団、昼の世界と夜の世界、その間を取り仕切る薄暮の武装集団…なんでも武装探偵社の社員の多くが異能を持つ者と聞くが…)

敦は、ボケ〜っとしている太宰、手帳に何かを必死に書き込んでいる国木田、静かにお茶を飲んでいるAを見ると

敦(この三人がそうなのか？でも、Aちゃんはまだ仕事出来る歳じゃないし…)

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