第169話 我儘 ページ27
すぐにいつもの顔に戻り、また掃除機を使い始めたリヴァイ。その姿を茫然と見つめる。
ほんの数秒だった。リヴァイが笑ったのは。でも私にとっては、その数秒がとても貴重なもの。
ずっと見たくて仕方がなかったリヴァイの笑顔をようやく見ることができたのだから。
コンセントからプラグを抜いた。掃除機から出ていた轟音は消え、瞬時に静寂が訪れる。
突然掃除機を使えなくされたリヴァイは何事かと驚いて私を見る。
『……掃除機を作った理由…ガビたちから言われたというのはただのきっかけであって、建前です…』
「本音は？」
『本当は、笑ってほしかったから……私は…リヴァイさんの笑顔が大好きなんです…！』
掃除機のコードを握り締めたままリヴァイに近づき、恐る恐るもう一度顔を見つめた。
『ひとつだけ、我儘言ってもいいですか…？』
「何だ？」
『他の人の前では笑わないでほしい…私にだけ笑っていてほしい…』
10年前、自分の作ったものでリヴァイが笑ってくれたのがとても嬉しかった。
5年前、エレンたちの前でリヴァイが笑ったとき、無意識のうちに嫉妬した。
そして死の淵で走馬灯を見て気がついた。ずっとリヴァイのそばにいて自分だけが笑顔を見ていたいと。
私はリヴァイの笑顔に惚れた。大好きなリヴァイの笑顔を独占したい。
これら自分の気持ちをリヴァイに素直に打ち明けた。
「安心しろ。俺は元々あまり笑わない。笑うとすれば、便利な掃除道具を手に入れたときぐらいだな」
リヴァイは車椅子から降りた。そして私の頭に手を置いて口を開く。
「俺が便利だと思う道具が作れるのは世界でただひとり、Aだけだ」
リヴァイの言葉の意味を理解し、嬉しくて口元が緩んでいく。今ほど技術者をやっていてよかったと思えるときはない。
『じゃあ、私は、リヴァイさんが満足するような掃除道具を作り続けます…！』
「ああ、そうしてもらえると助かる」
両手を広げ、ゆっくりとリヴァイに身体を預けた。
『絶対に…笑っちゃダメですよ？リヴァイさん、モテるから…』
「俺の笑顔を見たいなんて物好きもお前ぐらいだと思うがな」
『そんなことない。リヴァイさんは笑顔も素敵だし、かっこいいし、強いし優しいし頼りになるし淹れる紅茶は美味しいし…』
「最後のは俺に関係ねぇだろ」
リヴァイの顔は見えない。でも、自分のではない、少し速くなった鼓動が伝わってくる。
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わたがし(プロフ) - moguさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！好みに合っていたようで光栄です！この作品を書いた甲斐がありました。尺の都合で省略した箇所を集めたスピンオフ的なものを作る予定なので、楽しみにお待ちください！ (3月17日 20時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - はにみずさん» 最後までお付き合いありがとうございました！いつも温かいお言葉を送っていただいて、本当に、心の底から感謝しています！読者様のおかげで最後まで続けられました。進撃にハマるきっかけとなることができて嬉しく思います！ボードにも感想ありがとうございました！ (3月17日 18時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
mogu(プロフ) - 作者様、キャラ設定もストーリーも好みドンピシャ過ぎて、正直完結がとても寂しいですが、更新本当にお疲れ様でした！小説の内容をより理解する為アニメを全話見返し繰り返し読ませていただくほどこの作品が大好きです。これからも陰ながら応援しております。 (3月17日 18時) (レス) @page43 id: 22906dc04b (このIDを非表示/違反報告)
はにみず(プロフ) - 更新お疲れ様でした！物凄く感動しました！主人公ちゃんの純粋で真っ直ぐな思いがリヴァイさんの心を動かしていたことに感動して思わず泣きそうになりました！この作品を読んで進撃の巨人が更に好きになる切っ掛けになりました！最後に、これからも応援させて頂きます。 (3月15日 21時) (レス) id: a327b3fc09 (このIDを非表示/違反報告)
LIVI,LOVE - 作者様、私の作品作り始めましての設定だけ投稿しました！作者名は『コットンキャンディー』です！作品名は『兵士長の双子の妹も最強でした、、、』です！これから、アニメとマンガを見つつ、お話し作っていきます！ (3月2日 11時) (レス) id: 7441eb7b04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2024年1月21日 10時
