第101話 上陸 ページ7
船を乗り継ぎ、ついにマーレ大陸へと上陸した。我々が壁外の地を踏む初の壁内人類となる。
船から降りて驚愕する。見たことのない建物や食べ物、人の多さ。壁内とはまるで違う。
先に来ていたオニャンコポンが出迎えてくれた。驚きながら街を見渡していたとき、目の前を何かが通る。
「あぁ⁉︎あの馬…馬か⁉︎あれ⁉︎」
「牛…？じゃないですか⁉︎そういう牛ですよ！」
「車だよ！聞いたろ来る前に！オーイ車！」
ハンジが大声で叫び、コニーたちは走っていく車を追いかける。その様子をリヴァイとオニャンコポンは呆れて見ていた。
「奴らを止めねぇと鉄の塊にニンジン食わせようとするぞ」
「ハハそんなまさか……ニンジン買ってる…！」
「にしても人が多すぎるな。A、危ねぇから俺から離れるなよ……って、A？どこ行った？」
さっきまで隣にいたはずのAがいない。まさかと思い、車の走っていった方向を見る。
Aはハンジらの後ろから車を追いかけ、止まった車から降りてきた人に話しかけていた。
『あ、あの…その車、どうやって動かしてるんですか…？』
「え？アクセルとハンドルで操作してるけど。お嬢ちゃん、車に興味あるのかい？」
『はい、初めて見ました。どこに行ったら買えますか？』
「うーん、専門の店に行かないと買えないかな。それに子どもには売ってくれないと思うよ？」
『そんな…買って分解したかったのに…』
「分解⁉︎車を⁉︎」
車について教えてくれた男は私の発言に驚いている。そのとき、誰かに腕を掴まれた。
「何してる。勝手にうろつくな」
『え…でも、聞きたいことが…』
リヴァイに腕を引っ張られ車から離れていく。もっとよく見たかったのに…
皆と合流し、サシャが買っていたアイスという食べ物を自分も食べてみた。
食べた瞬間、甘く冷たい何かが口の中で溶けていく。氷とはまた違った感覚。
『兵長、これすごく不思議な食感がして美味しいです。食べてみてください』
アイスを差し出すも、リヴァイは怪訝な顔でこちらを見つめている。
そこで気がついた。リヴァイは潔癖症だった。他人の食べかけなんて口に入れたくないのだろう。
『すみません、新しいの買ってきます…』
手を引っ込めようとした瞬間、手首を掴まれリヴァイはアイスを一口食べた。
「美味いな」
一言だけ言って手を離す。誰かの食べかけを食べるなんて、リヴァイにしては珍しい行動だった。
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
