第？？話 未来 ページ50
それから年月が経ち、Aが中央憲兵に誘拐されたとき、いつもは冷静なリヴァイが珍しく焦っていた。
巨人に向けるものよりも激しい殺意を剥き出しにサネスへの拷問を行い、その後も事態が収束するまで治まることはなかった。
ああ、これは恋愛の方だ。そう確信した。
一方で、Aからたびたび相談されることがあった。
モヤモヤする、ドキドキする、そばにいたい等々。その全てがリヴァイに関係することだった。
うん、それはどう考えても恋。
なんだよこいつら、両思いじゃないか！！
なのにAは気付かない。恋愛を家族愛や友愛と混同している。見てるこっちがもどかしくて頭が飛びそうだ。
さすがの人類最強さんもAの鈍感さには振り回されているようで、プロポーズ紛いの言葉も気付いてもらっていない。
そんな折、リヴァイに強敵が現れた。マーレ人捕虜のテクトンだ。
もちろんリヴァイより背は高いし、顔もなかなかの美青年。何より厄介なのはAと同じ技術者であること。
彼はAをライバル視していたが、なんやかんやあったようで打ち解けて仲良くなっている。
捕虜から解放してもらった上に、自分の元へ足繁く通って教えを乞う可愛いAにテクトンが何も思わないわけがない。
あー、こりゃあ三角関係にもつれ込みそうだ。
マーレに渡ってすぐ、ミカサから遂にAが恋を自覚したと知らされた。
ミカサと2人で喜び合ったものの、当の本人たちにこれといった動きはない。
Aはリヴァイそっちのけで初めて見る車に夢中。リヴァイは恋愛では奥手になるタイプなのか、私が助言しても全く行動に移さない。
それからはマーレへの奇襲や地鳴らしで慌ただしくなり、恋愛どころではなくなっていった。そして今に至る。
ーーーーーーーーーー
「ーってな感じでさ、もう焦れったいったらありゃしない！一体いつになったらくっつくのやら…」
「俺はすでに、リヴァイにAの未来を託してある。そう時間はかからないよ」
「へぇ奇遇だね。私もAに最後のお願いを残してきたよ」
「そうか。なら、あとは2人に任せよう」
私たちはもう背中を押してあげられない。できれば最後までそばで見守ってあげたかった。
人類最強の兵士と天才技術者。相性も完璧だ。どちらかが言い出せば必ず上手くいく。
もう散々待ったからさ、そろそろ見せてくれよ。私の望む未来、想いの通じ合った幸せな2人を…
《ハンジside 終》
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
