第138話 連携 ページ44
うなじ付近で戦鎚に刺されていた車力からピークが脱出。戦鎚の槍の上を全力で走りながら再び巨人化した。
その後、ジャンを襲っていた巨人のうなじを噛み千切るも、別の巨人に後ろから狙われる。
ジャンが逃げろと叫ぶが、巨人化したピークの体はそのまま巨人にやられてしまう。間一髪で飛び出したピークが叫んだ。
「私が戦闘に向かない雑用係の巨人だと思ったら、間違いだよ！」
ピークは再び巨人化。先ほど自分を襲ってきた巨人のうなじを噛み千切った。
「車力の持続力なら、私がやられない限り勝つまで戦える！何百回でも！」
だから自分のことは心配するなと言うピークは、起爆装置まで急ぐジャンの援護をしていく。
ピークは巨人化してはうなじを噛み、やられれば人間に戻りまた巨人化する。それでも敵が多すぎて何百回勝ったとしてもキリがない。
痛む左腕を無視して立体機動を操作し、巨人から飛び出したピークを抱えた。
『次、あそこの巨人をお願い！』
「了解！」
判断力に定評のあるピーク。私のやろうとしていることを即座に理解した。
ピーク本人がやられたら終わり。だから巨人から出た直後のピークを自分が抱え、次に倒すべき巨人の近くまで移動させる。
左腕を負傷して両腕で剣を振るえない今、自分にできることはこのくらいだ。
「お前ら、なんつーコンビネーションしてんだよ⁉︎」
私がピークを援護し、ピークがジャンを援護。これを繰り返していく。その連携技を見たジャンは舌を巻いた。
だが、何回目かの時、他の巨人に阻まれて間に合わず、ピークの左手首が切られてしまった。
手首を押さえて落ちていくピークをジャンが抱える。
「…腕が治ればまだ戦える…！」
「限界だ！ライナーの元まで後退を……ライナー！」
後ろを振り返って愕然とする。ライナーの体には戦鎚の作り出した槍や弓矢が刺されて動けず、今にもうなじを斬られそうになっている。
ライナーは立体機動装置を付けていないから出てこられない。このままでは殺されてしまう。
『ごめんライナー！今そっちに行くから、もうちょっとだけ持ち堪えて！』
ライナーの装置を修理に使ったのは自分だ。ピークをジャンに任せて今度はライナーの救助へと向かう。
近づいてくる私の気配に気づいたのか、戦鎚の巨人たちの標的がライナーから自分へと移る。
戦鎚の持つ巨大な鎌が振り下ろされた。
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
