第136話 窮地 ページ42
ライナーと協力しながら、アルミンを連れ去った巨人がいる尾骨の方へと進んでいく。
行く手を阻む巨人を刃と雷槍、全ての力を用いて倒す。一瞬でも気を抜くとやられてしまう。
しかし、相手は歴代の九つの巨人。無垢の巨人とは動きがまるで違う。さらに数が多すぎて、いくら倒してもキリがない。
『あっ！兵長、すみません！そっちに一体行きました！』
取り逃した巨人のうなじをリヴァイは一瞬で削ぎ落とした。とても怪我している身体とは思えない動き。
「謝ってる場合じゃねぇ！急いで進め！」
万全ではないリヴァイに負担をかけないよう自らが前に出て戦うが、やはり経験値が足りず逆に助けられてしまう。
その時、上空から影が差した。蒸気が晴れて現れたのは超大型巨人。アルミンではない、あの顔はベルトルトだ。
ベルトルトはライナーを掴んで口に運んでいく。いくら鎧の巨人でも超大型には大きさで適うはずがない。
すんでの所で、ジャンがライナーをうなじから引きずり出して助ける。
そしてその後、ベルトルトはライナーが抜けた鎧の身体をこちらに向かって投げ飛ばした。
その衝撃で身体が吹き飛ばされ、始祖から伸びる骨へと叩きつけられる。
「起きてコニー！兵長！A！」
コニーは意識を失ったままぶら下がり、リヴァイも口から血を吐き動けない。ジャンとライナーも装置が故障しているようだ。
かく言う自分も全身の痛みに加え、飛んできた鎧の破片が左腕を掠り、指先へと血が滴り落ちている。痛みで装置の柄が掴めずとても立体機動を使えそうにない。
今動けるのはミカサのみ。負傷した私たちに襲ってくる巨人を一人で何体も倒していく。
意識のないコニーへと巨人が近づいた。間一髪でリヴァイが巨人の目を斬るが、その巨人に左脚を噛まれてしまう。
『あ…兵長…！』
助けに行きたいけど行けない。ミカサがうなじを斬り、起きたコニーがリヴァイを抱えるも周りには無数の巨人。
もう、勝ち目がない…
「来い！私は強い！ので！いくらかかってこようと…」
「ミカサ！あんたちょっと邪魔！」
ここにいるはずのない人物の声がした。同時にミカサの背後に鳥の翼が広がる。
「掴まって！」
腕を伸ばしてその人物の手を掴むと、力いっぱい引き上げられた。
「いや、私もまさか本当に巨人が飛ぶとは思ってなかったんだけど、本当に飛ぶからもう、行くしかなかった」
そこにいたのは、船に乗ったはずのアニだった。
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
