【進撃の巨人】調査兵団の天才技術者 Vol.3 (ページ37)

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第131話　苦境ページ37

朝日が登り、飛行艇の整備が完了した。あと1時間ほどで離陸できる。

ハンジの指示によりそれぞれ装備の最終点検を行う。

立体機動装置を扱う上で必要な指を失ったリヴァイ。残された指でなんとか柄を握るが動きがぎこちない。

「…2本も指がありゃ十分だ。問題ねぇ」

『使いやすいように私が作り変えます。貸してください』

「あと1時間しかねぇんだぞ。できるのか？」

『1時間もいらない、10分あればできます。それが私の役割なので』

急いで格納庫に置いてあるアニの装置を分解して部品を集め、リヴァイの右手の柄を改造していく。

装置の改造なんて何百回もしてきた。今さら時間はかからない。

改造をしながら、船に乗るアニに手を振る。本当に短い間だったけど、アニも一緒に戦った大事な仲間だ。

皆が軽く食事をとり、飛行艇に燃料を注入しようとしたその時…

ドンッドンッ

銃声が鳴り響いた。

撃ったのはずぶ濡れのフロック。咄嗟にミカサがフロックの首にアンカーを刺し、フロックは血を流してその場に倒れた。

どうやら海に落ちてから船にしがみついてここまできたらしい。

「ハンジさん！燃料タンクに穴が…！これじゃ、飛行できません！」

オニャンコポンが叫ぶ。ヒィズルの整備士が穴を塞げば何とかなると、溶接の準備を始めたとき…

地面が揺れ、遠くから地響きが聞こえてきた。

外に様子を見に行ったライナーが叫ぶ。

「来た……地鳴らしが…来た！」

悠長にしている時間はない。ここもすぐに踏み潰される。

整備士たちは手分けして穴を溶接していく。自分も早く装置を完成させなければならない。

ハンジからフロックが死んだと聞き、焦る手を止めフロックに駆け寄った。

世界から島を守るために必死だったフロック。ただそれだけ。島の未来を考えると、フロックの方が正しいことをしている。

『ありがとう、フロック。私と友達になってくれて…これ借りるね』

フロックの手から拳銃を外した。

拳銃を少し分解して、出てきた部品を使いリヴァイの装置を完成させた。

『どうですか？使いやすくなりましたか？』

「ああ、助かる」

リヴァイは完成した装置から埠頭の先へと目線を移す。視線を追うと、そこには両腕に雷槍を装着したハンジがいた。

「みんなをここまで率いてきたのは私だ。大勢の仲間を殺してまで進んだ。そのけじめをつける」

持っていた工具が手から滑り、鈍い金属音を立てて地面に落ちた。