第126話 殿軍 ページ32
フロックを失ったイェーガー派は混乱しており、その隙をついて攻撃していく。
「出港できるぞ！早く乗れ！」
汽笛が鳴りオニャンコポンが叫ぶ。
船に向かおうとすると、巨人化したファルコがこちらに襲いかかってきた。
車力がなんとか食い止め、マガトがうなじからファルコを助け出した。
ファルコは気を失い、巨人化して戦っていたライナー、アニ、ピークもかなり疲弊している。
イェーガー派が持っていた雷槍をできる限り抱えて、みんなより遅れて船に向かった。
そこで、ファルコをオニャンコポンに預けたマガトとすれ違う。
『元帥殿は船に乗らないんですか？』
「ああ、
そう言ったマガトの視線の先にはもう一隻の船。マガトがこれからしようとしていることに気付き、雷槍を何本か渡した。
『これ、使ってください。信管を引くだけで爆発させられます』
「これもお前が作ったのか？」
『はい。なので、威力は保証できます』
「助かる」
渡した雷槍を持ってマガトは船を離れていき、自分は逆に船に乗り込んだ。
船が出港した。船上から離れゆく島を眺める。
しばらくして、港に停泊していた船が爆発。これでイェーガー派は追いかけて来られない。
ガビが泣き叫び、そんなガビをピークが抱きしめる。
短い間だったとはいえ、自分も一緒に戦った仲間だ。自ら心臓を捧げたマガトに静かに敬礼をした。
これから船が向かうのはマーレ海岸都市のオディハ。そこにはアズマビトが所有する格納庫があり、飛行艇の整備ができるという。
オディハへは地鳴らしの先回りはできるが、レベリオの壊滅は避けられない。アニを始めとしたマーレの戦士らは絶望している。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
《現在公開可能な情報》
No.43
島に残ったマガトは列車を爆破させたキース・シャーディスと共に船の弾薬庫にいた。
「それは雷槍か？」
「ああ、Aが渡してくれた。あの子もあんたの教え子なのか？」
「いや、会ったことすらない。だが、あの子の兄のことはよく知っている」
「兄？」
「私とは違う、彼はとても有能な兵士だった。あの子が島を代表する技術者をやっているのも、きっと彼の教えが良かったからなんだろうな」
キースは自分の後任の団長を思い出しながら、雷槍の信管を銃の引き金に繋いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 486人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
