第119話 一蓮 ページ25
安全な道か茨の道か、答えはすでに決まっている。
『私は、イェーガー派には入りません。2人についていきます』
平和な生活に戻りたい。
でもそれは自分だけでは駄目。リヴァイとハンジも一緒じゃないと嫌だ。
「また仲間を殺すことになるかもしれねぇぞ。それでもいいのか？」
『好きな方を選べと言ったのは兵長です。何があっても、私は兵長ともハンジさんともずっと一緒にいたい！もう、大切な人と離れたくない…！』
「でもやっぱり、これからの立場を考えたら…」
『2人は…私と一緒にいてくれないんですか…？』
ハンジの言葉を遮るように声を絞り出した。
立場なんてどうでもいい。自分にとっては大好きな2人と離れる方が耐え難い。
「ハハ、Aの素直さには敵わないな。私もAとは離れたくないよ。リヴァイもそうだろ？」
「……ああ…」
小さく答えたリヴァイ。流されて言ったのかそれとも本心か。それは強く握られたままの手が答えだ。
荷台を完成させ、そこにリヴァイを寝かせる。荷台を馬に繋ぎ出発しようとしたところで、遠くから地響きが聞こえてきた。
木々の隙間から森の外を覗いて驚愕する。
無数の超大型巨人が南へと歩いており、その真ん中にはとてつもなく巨大な骨の塊がゆっくりと動いている。
あれがエレン…いや、始祖の巨人だ。
『あ、ハンジさん、向こうに誰かいます』
「あれは…車力の巨人？」
森の向こう側に車力の巨人とマーレ軍の隊長が話しているのが見える。空には飛行船も飛んでおり、どうやらマーレ軍が奇襲を仕掛けてきていたようだ。
そこで、ハンジがある提案を出した。リヴァイはそのまま寝かせ、自分は武器をすべて外しハンジと共に車力の巨人らに近づいた。
「…あの〜」
ハンジの声に反応した車力が即座にこちらに襲いかかってくる。
「ちょっと待って！とりあえず食べないで。こちらには何の武器もありません」
目の前で止まった車力だったが、背中に乗る隊長はこちらに拳銃を向けた。
「え？あっちに誰かいる？ああ、ご安心ください。あれは、人畜無害の死に損ないです」
動けないリヴァイを見て話を聞く気になったのか、隊長は車力から降りてきた。手に拳銃を握ったまま。
こちらの目的はジークを殺すこと。そしてそれは向こうも同じ。巨大な始祖に取り込まれたジークを殺すには互いの協力が必要だ。
「我々はやるしかないんだよ。みんなで力を合わせようってヤツを！」
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
