第118話 逃避 ページ24
これからどうしていけばいいのか悩むハンジは頭を抱え、眠る2人をチラリと見た。
「私たちじゃジークを止められないだろうし、アルミンやピクシス司令に託すしか…たとえばエレンがジークを裏切っていたとしても、イェーガー派が脊髄液でこの島を支配するなら、私たちは一生この島のお尋ね者。多分、順番が来たんだ…」
かつて、時代を変えるために捕まえ拷問をした男に言われた言葉を思い出す。
「自分じゃ正しいことをやってきたつもりでも、時代が変われば牢屋の中…いっそ3人でここで暮らそうか。いや、2人には結ばれてほしいから、やっぱり私はお邪魔かな…」
その時、突然青白い世界へと引き込まれた。
《すべてのユミルの民へ告ぐ》
これはエレンの声。砂地のような場所で脳内にエレンの声が流れ込んできた。
元の場所に戻された後、ガバッと起き上がり近くにいたハンジと顔を見合わせる。
『今、夢でエレンの声が…！』
「ああ、今のは…まさか、エレンが世界を……リヴァイ！」
目を覚ましたリヴァイが身体をゆっくりと起こそうとしていた。
「獣のクソ…野郎は…どこだ……」
起きて第一声がジークのこと。一度捕まえたのにまた逃がしてしまったことがよほど無念なのだろう。
起きなくていいとハンジがリヴァイを寝かせ、自分も繋いでいた手を離そうとした。
が、リヴァイはその手を離そうとしない。その後も苦しそうにしながらもハンジと話をしていく。
「蚊帳の外でお前が大人しくできるはずがねぇ…」
「ああ、そうなんだよ。できない」
「A…お前はどうする？」
唯一包帯が巻かれていない左目が私を捉える。
「エレンはジークを裏切った…イェーガー派も義勇兵を生かしちゃおかねぇだろうな…そうなると、奴らは島を発展させるためにお前に頼るしかなくなる…」
「イェーガー派はAの力が必要だからAを殺せない。彼らの仲間になれば身の安全は保証され地位も安泰、ということだね」
『…でも、地鳴らしが発動されたなら、この島に武器はもう必要ない。私も要らなくなるんじゃ…』
「そうだ、地鳴らしは強力な武器で世界を踏み潰す。この島に他の武器はいらねぇ。だからお前の望む、武器を作らなくていい生活に戻れるんだぞ…」
もう武器は作りたくない、平和な生活に戻りたい。それは心からの願い。
でもそのためには、イェーガー派と対立する2人とはお別れしなければならない。
「A、好きな方を選べ」
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
