【進撃の巨人】調査兵団の天才技術者 Vol.3 (ページ21)

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第115話　危機ページ21

全速力で馬を走らせていると、ある一帯に兵士が集まっているのが見えた。

イェーガー派かもしれない。気付かれないよう距離を取りながら進み、森の茂みに隠れた。

近くには巨人が一体倒れており、一人の兵士が川の側に座り何かを抱えている。

あれはハンジだ。後ろにいるのはフロックで、周りの兵士らはハンジに銃口を向けている。

そして、ハンジが抱えているものを見て息を呑む。それは全身が血まみれで動かなくなったリヴァイだった。

さっきの音と辺りの状況からして、ジークが自ら雷槍を爆発させた。近くにいたリヴァイはそれに巻き込まれて…

『……っ！』

考えたくない推測に口元を押さえる。あの雷槍を至近距離から食らえば、確実に…死ぬ…

雨が止んで光が差してきた。

その時突然、倒れている巨人へと蒸気が吸い込まれ、中から裸のジークが出てきた。

兵士らがジークへと目を向けている隙に、ハンジがリヴァイを抱えて川へと飛び込んだ。

何人かの兵士が川へと銃を撃ちながら走る。フロックはジークを連れてどこかに去って行った。

周りに誰もいないことを確認してから、茂みに隠れつつ川に沿って下流へと歩く。

少し進んだところで、リヴァイを抱えたハンジが川から上がってくるのが見えた。しかし、それを発見した兵士がハンジへと銃口を向ける。

即座に銃を構え、その兵士の背中を撃ち抜いた。

『ハンジさん！』

茂みを出てハンジへと駆け寄る。

「今のは、A⁉︎無事だったのか⁉︎」

『はい、ハンジさんのところへ報告に行く途中だったので。それより、兵長は…⁉︎』

「なんとか脈はある。重症だけど生きてるよ。一体何があった？」

『ジークはワインに脊髄液を仕込ませていました。それで見張っていた仲間はみんな巨人化してしまって…』

「A！後ろ！」

ハンジの声に後ろを振り向くと、別の兵士がこちらに拳銃を向けていた。新型の立体機動装置を付けている。

「大人しく武器を捨てろ。捨てないと撃つぞ」

ハンジらを背に立ち、兵士と向かい合う。

「A、お前はこの先も島の発展に必要な人材だから殺しはしない。後ろの2人を撃つ。そこをどけ」

黙って刃の柄(つか)を握って構え、兵士の持つ拳銃をじっと見つめる。

「剣が銃に勝てるとでも思ってんのか？」

兵士が引き金を引いた。