第97話 疲労 ページ3
仲良くなったテクトンからもマーレの技術を教えてもらい、リヴァイと実験を繰り返しながら遂に新型立体機動装置が完成した。
本体の軽量化に加え、拳銃と雷槍を同時に装着することができ、柄の引き金を引くと雷槍の発射が可能になった。
鉄道の敷設計画に新型装置の開発、さらにヒィズルの技術を死に物狂いで勉強するという多忙な日々。
さすがに限界がきたのか、新型の装置ができたと発表した後、急な発熱に見舞われた。
自室のベッドでヒィズルの人から借りた学術書を読んでいると、見舞いに来たリヴァイに本を取り上げられた。
「まだ熱が下がってねぇんだろ。大人しく寝てろ」
『…でも…寝ている時間がもったいない…』
「それで熱が長引く方がもったいねぇだろ。いいから黙って寝ろ」
正論を言われ、何も言い返すことなく薬を飲んでから布団に潜った。やはり無理をしたせいか、少し頭がクラクラする。
「完全に治るまでこれは俺が預かっておく。早く読みたきゃ早く治せ」
取り上げた本を持って部屋を出て行こうとするリヴァイ。そのリヴァイの袖口をきゅっとつまんだ。
『……そばに…いてほしい…』
自分でもなぜこんなことを言ったのか。ここ最近なかった胸のドキドキがまた押し寄せてくる。
引き止められたリヴァイはベッド脇にイスを持ってきて座った。
しばらくお互い何も話さないまま。引き止めたのだから何か話さないと…
『…あ、あの…兵長…』
「何だ？」
『…私の誕生日に、工具を買ってくれたこと…覚えてますか…？』
「ああ、あのクソ硬えやつだろ」
『…何も言ってないのに、兵長はどうして知ってたんですか…？私があれを欲しがってたこと…』
ふと頭に浮かんだ、長年疑問に思っていたことを聞いてみる。
『…一緒に掃除してから誕生日まで、兵長には会ってなかったのに…エルヴィンから聞いたんですか…？』
「……まぁ、そんなとこだ」
リヴァイにしては珍しく、はっきりと答えなかった。
『私、すごく嬉しかったんです…自分のお金じゃ一生買えないと思ってて…今でも、私の大事な宝物です…』
「そうか…」
『平和な時代に戻ったら…また便利な掃除道具…作ります…ね……』
薬が効いてきたのか睡魔が襲ってきて、数秒後には眠りに落ちていた。
「お前に
Aの布団をかけ直しながら、リヴァイは小さく呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 486人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
