第112話 暴悪 ページ18
「おい、何してる」
横からリヴァイの声がしてハッと振り向く。報告に来た部下との会話を終えたリヴァイがいつの間にかここに来ていた。
リヴァイは私の顎に触れていたジークの腕を掴み強く捻りあげる。
「お前、何そのクソ汚ねぇ手でAに触ってやがる。今すぐ殺されてぇのか？」
「殺したくても殺せないだろ？男の嫉妬は見苦しいぞ」
リヴァイはジークの腕をさらに強く掴む。
「読書はどうした、クソ野郎」
「7回も読んだ本に熱中しろってか？ところでワインはもう残ってないのか？」
「一月もここにいるんだぞ。一滴も残ってねぇよ。A、交代だ。ここはいいからお前は休んでいろ」
『はい、わかりました』
本を持ってテントに行こうしたとき、ジークに呼び止められた。
「Aちゃんもワイン飲んだ？美味しかった？」
『私は未成年なので飲んでません』
「なんだ…飲んでないのか。真面目だなぁ…」
ワインとは、調査兵団の新兵が持ってきたマーレ産のワインのこと。
普段は憲兵しか飲むことができない希少なもので、ここにいるみんなはリヴァイを説得しワインを飲んで楽しんでいた。
この中で未成年は自分だけ。勧められてももちろん飲んでいない。いつもリヴァイの淹れた紅茶を飲んでいた。
でも、あのワインはどこかで見たことがある…
テントに戻って学術書の続きを読んでいると、遠くで誰かの叫び声が聞こえてきた。
この声はジーク。まさかと思い、急いでテントを出た。
見えたのは遠くに走り去るジークと上から落ちてくる仲間たち。
皆は体の内側から光を放ち、次の瞬間には巨大な化け物と化していた。
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《現在公開可能な情報》
No.41
Aがテントに帰った後、リヴァイはジークの腕を放し、冷たく睨みつけた。
「そう怒るなって。ちょっとからかっただけじゃないか」
「からかった？それは読書よりも楽しいことなのか？」
「楽しくなかったよ。Aちゃんが鈍感っていうのは本当みたいだな。あんなことされたら照れるだろ？普通」
「Aは普通なんて安い言葉で片付けられる奴じゃねぇ。少なくともテメェみたいな髭面クソ野郎には何の興味も示さねぇだろうな」
「随分と自信がおありのようで…」
「Aはもうお前には近づけさせねぇ。読書を続けろ」
「了解だ、ボス」
リヴァイがその場を離れた数分後、ジークは本を置いて走り出した。
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
