【進撃の巨人】調査兵団の天才技術者 Vol.3 (ページ15)

今日:35 hit、昨日:100 hit、合計:35,641 hit

第109話　太陽ページ15

ジャンとコニーもサシャに駆け寄り、意識が朦朧としているサシャに大声で呼びかける。

「オイ！サシャ！しっかりしろ！オイ！」

「……うるさいなぁ…もう……ご飯は…まだですか…？」

サシャが虚な目で呟く。

「止血だ！穴を塞ぐんだ急げ！」

「サシャ！島まで耐えろ！」

『…サシャ！死んじゃ…ダメ…！』

止血をされるサシャの手を強く握り締める。だんだんと脈が弱くなってきているのがわかる。

「…………肉……」

その言葉を最後に、サシャは動かなくなった。

「こいつらロボフさんの立体機動装置で飛び乗ってきやがった、外に投げる。それでいいな？」

フロックたちから殴られた子ども2人は縄で縛りあげられている。

「子どもを空から投げ捨てれば、この殺し合いが終わるのかよ…」

震える声のジャン。本当に、いつになったらこの戦いは終わるのだろうか。

縛られた女の子は島の悪魔がどうのこうのと威勢よく喚き叫んでいる。ジャンは2人を隣の部屋へと連れていった。

動かなくなったサシャの手を再び握り締め、その手を祈るように自らの額に当てる。

『サシャ…ダメだよ、死んだら……みんなで帰って、ご飯にしようって言ってたのに……』

涙が落ちて床に染みをつくる。

隣の部屋からミカサとアルミンが駆けつけた。2人が大声で呼びかけるもサシャからの反応はない。

『…もう…脈が……』

サシャの手から完全に脈が消えた。

ミカサとアルミンも大粒の涙を流し、コニーは力なく隣の部屋へと歩いていく。

『…なんで……嫌だよ…サシャ……朝ごはん、分けてあげるから……一人じゃ…食べきれないよ……』

サシャがご飯を食べるときの笑顔が好き。

調査兵団に入団したときから毎朝ご飯を分け、その度にサシャの笑顔を見るのが楽しかった。

そして、ご飯を分け与える私のことを天使だと言ってくれた。サシャにとって私が天使なら、私にとってサシャは太陽のような存在だ。

いつも明るくて、なんでも美味しそうに食べて、自分とは正反対だったけど、サシャの笑顔にいつも元気をもらっていた。

ずっと一緒にいたい、そう思っていた。しかし世界は残酷でそれを許してはくれない。また大事な人がいなくなった。

夜が明け太陽が顔を出した頃、飛行船は大陸を離れパラディ島に着陸した。