第106話 集結 ページ12
ミカサが戦鎚の注意を引き、その間にエレンが戦鎚の弱点を探す。自分たちはその様子を屋上から眺めている。
弱点に気付いたのか、エレンは再び巨人化し、舞台の瓦礫の中に手を突っ込んだ。
そこから出したのはアニとよく似た水晶体。中に人が入っているため、おそらくあれが戦鎚の本体。
エレンが水晶体から繋がる管を引き千切ると、巨人の方は地面に倒れていった。
あとはエレンが戦鎚の本体を食べるだけ…その時だった。
エレンの背後から顎の巨人が飛び出し、エレンのうなじにかぶり付いた。
そこを待機していたリヴァイが刃で顎の口元に切り込みを入れ、うなじを噛みきれなかった顎はエレンから距離をとる。
ミカサ、リヴァイと共に顎に雷槍を撃ち込もうとした。しかし、後ろから弾丸が雨のように流れてきて何人かに命中する。
あれは車力の巨人。背中に機関銃を背負っている。
そうこうしている間に、戦鎚が再び巨人を出現させ、巨人化エレンは串刺しにされた。
そして、ズシンと大きな足音が聞こえてきた。建物の間から姿を現したのは獣の巨人。
立体機動を装備した生身の人間、対、巨人3体。集結した両国の最大戦力がぶつかり合う。
「死ぬな、生き延びろ！」
リヴァイの言葉を合図に一斉に立体機動で飛び回る。
獣が石を投げ、車力がその背後を守る。そして車力の機関銃が届かない位置は顎が援護。
さすがマーレの戦士たち。奇襲を受けたのに完璧な連携が取れている。
でも大丈夫。こちら側にもまだ策はある。
獣が両手で石を投げた後、港の方が眩しく光り、軍艦が夜空に舞った。アルミンが巨人化したのだ。
仲間のベルトルトが巨人を奪われていたことに焦ったのか、顎が先走ってエレンの方へと向かった。
チャンスだ。連携が崩れた。
「もう《時間》が迫ってる！それまでは何としてでも車力の機関銃を無力化するんだ！」
「了解！」
『待って！無策で飛び込んでもただ撃たれるだけ。私が車力の弱点を探すから、もう少しだけ待って』
360度どこからでも砲撃できる重機関銃は、縦横無尽に飛び回る立体機動の天敵。テクトンが忠告していたのはこのことだったのか。
でも、どんな武器にだって弱点はある。これも自分が武器を作っているからこそわかる。
物陰に隠れて車力の重機関銃をよく観察する。絶対、どこかに穴があるはず。
『ジャン、車力の機関銃を無力化する策を思いついた』
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
