第105話 奇襲 ページ11
ヴィリー・タイバーの演説が始まり、観客は皆、舞台に注目している。
演説の内容は、巨人大戦後にフリッツ王が壁に逃げた経緯と真意。
始祖を持つ王家は「不戦の契り」で地鳴らしを発動できないとされていたが、その始祖を王家でないエレンが奪ったことによって、世界は再び危機に迫られているという。
「我々は国も人種も異なる者同士ですが、死にたくない者は力を貸してほしい！どうか…一緒に未来を生きてほしい！パラディ島の悪魔と、共に戦ってほしい！」
観客は立ち上がり歓声をあげながら拍手を送る。
「世界の平和を願い、今ここに宣言します！パラディ島敵勢力へ！！宣戦布告を！！」
タイバーの宣言と同時に、舞台裏の建物下から巨人化したエレンが姿を現した。
エレンは舞台を壊し、タイバーを一口に食べた。
大勢の観客は我先にと逃げ惑う。だが、それもお構いなしにエレンは暴れ、人々は瓦礫の下敷きになっていく。
これはまるで、壁を破壊された日の光景と同じ。突然、大勢の人の全てを奪った。
エレンが暴れる後ろ、舞台があった瓦礫の下から光が差し巨人が現れた。戦鎚の巨人だ。
戦鎚の巨人は硬質化で器用に何でも作れる。エレンが戦鎚と交戦するも、硬質化で作った巨大な針で体を貫通された。
ミカサに雷槍を渡し、自分はジャンと共に屋上にいるマーレ軍の背後に回り込む。
戦鎚が巨大な槌で巨人化エレンの頭を落とし、うなじから蒸気をあげエレンが顔を出した。
「今だ、ミカサ」
合図と共に一斉に動き出す。ミカサは戦鎚の元へ、自分たちはマーレ軍を背後から撃ちまくる。
雷槍を装填し、敵が用意した「対巨人野戦砲」をめがけて撃った。
『その対巨人用の大砲、壊すのは忍びない。作った人ごめんなさい！』
「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ！どんどん武器を壊していけ！」
『わかってる』
自分が武器開発をしているからか、せっかく作ったものを粉々に壊されるのはとても辛い。強力な武器であればあるほど特に。
でもだからこそ、武器がないと人は無力化するということをよく知っている。狙うべきは人ではなく武器。
大砲だって、弾がなければただの飾り物。準備されている砲弾にも雷槍を撃ち爆発させていく。
マーレ軍をあらかた制圧したところで、コニーとサシャと合流。あとは《時間》までに戦鎚を倒さなければならない。
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年12月14日 17時
