第58話 死地 ページ9
※ここから10話ほどシリアスな話が続きます。
「おーい、誰か生きてるかー⁉︎」
「生きてたら返事してくれー！」
遠くでジャンとコニーの声が聞こえる。これは幻聴なのか？
自分は爆発に巻き込まれて死んだはず。走馬灯まで見た。
全身が痛むし、息も満足にできない。自分でも生きているのか死んでいるのかわからない。
でももし、生きているなら、もう一度みんなに会いたい…！
痛む身体に鞭打って震える手を音響弾に伸ばした。
キィィィィィィン
音響弾が鳴り響く。次に場所を知らせるために信煙弾を取り出す。
何色でもいい。誰かが気付いてくれたらそれで十分。
指先に精一杯の力を込めて引き金を引く。ぼやける視界の端に煙が上がったことを確認して目を閉じた。
「あっ！さっきの信煙弾はA⁉︎生きてんのか⁉︎」
「なんとか脈はあるみたいだ。だが出血が酷くて意識を失ってる。」
「A！しっかりするんだ！起きろ！」
名前を呼ぶ声が聞こえて薄っすらと目を開ける。ハンジ、ジャン、コニーが自分を除き込んでいるのがぼんやり見えた。
「はっ！A！大丈夫か⁉︎私がわかるか⁉︎」
『………ハ…ハンジ……さん…』
「よかった。意識が戻ったみたいだ」
だんだんと意識がはっきりしてきた。コニーは大粒の涙を流し、ジャンとハンジは安堵の表情を浮かべている。
「身体を強く打ったみたいだね。足の骨が折れてる。頭と腹部からの出血も酷い。肋が折れてないのは奇跡だよ」
ハンジから応急処置をされながら、ジャンが水を飲ませてくれた。
『……みんなは…？』
「サシャが怪我して寝てる。エレンたちは…無事だ」
『……兵長は…？エルヴィンは…無事…？』
聞いた瞬間、ジャンたちの顔が強張った。
「真実を話すしかない。コニー、リヴァイを呼んできてくれ」
数分後、コニーがリヴァイを連れて戻ってきた。
「A…生きてたのか…」
『……兵長…無事で…よかった…』
リヴァイが私の手を握ろうと手を伸ばすも、ハッと何かに気付いて引っ込めてしまった。
「リヴァイ、Aに本当のことを話すしかないよ」
「ああ、わかってる」
どんよりと曇った空を見上げながら、超大型巨人の爆発が起こってから今に至るまでの全てを聞いた。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
