第55話 追懐 ページ6
9歳くらいの頃、兄が家に人を連れてきた。兄と同じ調査兵団の兵士らしい。
突然やってきた大人たちに驚いて兄の後ろに隠れる。
「へぇ〜君がエルヴィンの妹⁉︎可愛いね〜！」
メガネをかけた人が近づいてきて目線を合わせるように屈んだ。
「こんにちは。私はハンジ・ゾエ。エルヴィンの仕事仲間だよ。君の名前は？」
『……A・スミス…です…』
「Aか、良い名前だね。お兄ちゃんが付けてくれたのかな？」
普段から家族以外の人とはほとんど話さないため、何て答えていいのかわからない。
「ほら、あんたたちも挨拶しなよ」
「ミケ・ザカリアスだ。エルヴィンと同じく分隊長をやっている。よろしく」
ハンジの後ろにいるミケを見上げる。兄も背は高い方だったが、兄より背の高い人を初めて見た。
ミケの隣に立つ小柄な男に目を向けた。不機嫌そうに腕を組んでいる。
「……リヴァイだ」
鋭い三白眼と目が合い、睨まれた気がして思わず兄の服を掴む。リヴァイの第一印象は怖い、だった。
「驚かせてしまってすまないな。いつも俺とばかり話していてもつまらないと思って、俺の仲間を連れてきたんだ」
『つまらなくないよ』
「そうか。だが、彼らと話すと何か新しいことを知れるかもしれない」
ミケが鼻をスンと鳴らし呟いた。
「木と鉄の匂い、何か作っているのか？」
口で伝えるのが難しいため、みんなを自分の部屋まで案内した。
部屋の中を見た彼らは目を丸くする。
「こ、これは、立体機動装置⁉︎」
『…まだ途中ですけど…』
作っているのは立体機動装置。鉄はなかなか買えないため、木材を使って組み立てている。
兵士が腰に付けている装置がどういう仕組みで動いているのか気になった。だが手に入れるのは難しい。
そこで、街にいる駐屯兵が付けている装置をこっそりスケッチして見よう見まねで作っていた。
「すごい、とても精巧に作られている」
「ほんとにAが1人で作ったの⁉︎使ったこともないのに⁉︎」
『はい。エルヴィンがだいたいこんな風に使うって教えてくれたから』
「ひぇ〜それでも9歳の子が作れるようなものじゃないよ⁉︎兵士でも整備が苦手な人が多いのにすごいよ！」
自作の立体機動装置を見て、ハンジとミケはこれでもかというほど驚き、褒めてくれた。
家族以外の人に褒められるのは初めて。自分のことを理解してくれる人がいたことに嬉しくなる。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
