第92話 私情 ページ48
『私はこの島で技術者をしている者です。王家の血を引く巨人の維持が必要と言うのなら、ジークの寿命が尽きるまでに、私がこの島の軍事力を世界に追いつかせます』
突然の宣言に一同は騒つく。
「先程も申し上げたとおり、遅れを取り戻すのには最低でも50年はかかります。ジークの寿命はあと2年ほど。到底追いつける年数ではございません」
『今はまだマーレの方々から世界の技術を学んでいる途中ですが、これから死ぬ気で勉強して、2年で必ず追いつかせます』
「もちろん我々ヒィズルも全力でサポートいたします。ですがやはり2年というのは…」
『できます！というよりも、私はやります！女王を…友達を巨人にさせたくありませんから』
「お気持ちはわかりますが、それは随分と私情を挟まれているかと…」
『私情を挟んでいるのは、あなた方も同じではないですか？』
キヨミは口を噤んだ。隣に座るリヴァイから小声で制止され、それ以上は言わなかった。
ミカサを理由にこの島に来て、ジークとの仲介に協力すると言いつつも本当の目的は島の資源。これだって私情に含まれる。
「…まぁ…まだ結論を急ぐ時ではないでしょう。我々も引き続きジーク・イェーガーとの仲介に協力いたします」
会談が終わり、アズマビトのいる部屋から離れた場所までくると、ハンジからお叱りを受けた。
「せっかくの友好国の要人になんてことを言うんだ。時と場合を考えないと」
『……ごめんなさい…』
「それに、ヒストリアを犠牲にしたくない気持ちはわかるけど、50年のところを2年でできるというのはさすがに言い過ぎだ」
『……ハンジさんも、私には無理だと思ってるんですか？』
「Aの技術力は確かにすごい。でも今回ばかりは規模が違いすぎる」
『…私は本気でやるつもりです。2年で難しいなら、私が一旦獣を継承する。ジークの寿命と合わせて15年あれば追いつける』
「なんでそこまでして…」
『ヒストリアは私の大事な友達だから、苦しい思いはしてほしくない。私は大事なヒストリアのために、自分の持つ力を発揮したいだけです』
調査兵団に入って一番初めに声をかけてくれたのはヒストリア。
今まで通り人に興味はなかったけど、立体機動装置を直してあげると、すごいと言っていつも褒めてくれた。
ずっと友達でいると約束もした。私は大好きなヒストリアともずっと一緒にいたい。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
