第62話 理屈 ページ13
目が覚めてから数日経ち、ようやく身体を起こせるようになった。片足を骨折しているので歩くことはまだできない。
ジャンとコニーがよく見舞いに来てくれて、フロックは毎日食事を運んでくれる。
団長になったハンジも時間を見つけては様子を見に来てくれる。でもリヴァイとアルミンは一度も来てくれたことがない。
今日は食事中にハンジが見舞いに来た。まだスープの残った皿を見て呆れたように溜め息を吐く。
「たくさん食べないとよくならないよ？」
『…食欲ない…これはサシャにあげてください』
「サシャはもう食べ終わってぐっすり寝てるよ。ほら、あーん」
口元にスプーンをあてがわれ渋々口を開いた。味がしない。
「顔に傷が残らなくてよかったね。お嫁に行けなくなるところだったよ」
『元から自分の顔好きじゃないから、どうでもいい…』
「えぇ〜私は好きだよ。可愛いんだからもっと自信持って！」
スープを一口ずつ口まで運んでもらう。どれだけ食べても美味しくない。
「…リヴァイのこと、恨んでる？」
突然真剣な顔つきに変わったハンジ。調査兵団内では、この話題は出してはいけない暗黙の了解になっていた。
『わからない…もちろんエルヴィンに注射を打ってほしかったけど、アルミンのことも大事だし…どう思っていいのかわからないです…』
「エルヴィンから注射を託されたリヴァイがした選択だから、みんなもう文句は言わない。でもAはあの場にいなかったし、そうはいかないよね」
『…文句は言いません。もう終わったことだし…ただ、前と同じように兵長と接するのは、難しいかもしれません…』
「そっか。2人には元の関係のままでいてほしかったんだけどな」
『そういえば、走馬灯を見て気付きました。私が兵長の笑顔を独占したい理由が、ほんの少しだけ…』
「え⁉︎ほんとに⁉︎どんな理由だった⁉︎」
『兵長が私だけに笑ってくれたのが嬉しくて、ずっとそばで見ていたいなって…』
「うんうん、それで⁉︎」
『終わりです』
「んんっ、あと一歩ってところか」
ハンジは肩をガクッと落とした。
『でも、そばにいたい理由がまだわからないです』
「何でもかんでも理由があるわけじゃないんだし、感情を理屈で考えてちゃダメだよ？」
リヴァイのそばにいたいと思う。でも今は会いたくないと思う自分もいる。
自分の感情すらもわからなくて悔しい。そう思いながら最後の一口を食べた。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
