第61話 辛酸 ページ12
音響弾を鳴らして合図を送る。ほどなくしてコニーがやって来た。
「兵長たちは地下室に行ってるから代わりに俺が」
『…遺体は持って帰れないの？』
「死者が多すぎて全員は連れて帰れなくて、団長だけ特別ってわけにもいかないらしい」
『…そっか…じゃあこれで本当にお別れなんだね…』
もう一度エルヴィンの方を向き小さく呟いた。
『エルヴィン、ありがとう…またね…』
コニーに背負われて家を出た。ここに来るときは気づかなかったが、あちこちで煙が上がり戦いの凄惨さを物語っている。
『ごめんね、私だけが辛いわけじゃないのに…』
「そんなことねぇよ。兄貴が死んだらそりゃ悲しいに決まってるだろ。助かるかもしれなかったのによ」
『…コニーだって辛いよね…お母さん、生きてるのに話しもできないなんて…』
「…俺の母ちゃんは巨人になっちまったけど、まだ戻るかもしれねぇだろ…死んじまったらもう…会えねぇよ…」
野暮なことを言ってしまった。傷の舐め合いなんかしても仕方ない。辛さに上も下もないのに。
謝罪の気持ちでコニーの首にギュッと抱きついた。
「お、おい！あんまくっつくなよ！俺が兵長に殺されちまうだろうが！」
『……ごめん…』
「なんかAらしくねぇな。いつもなら、なんで兵長？って言うところなのに」
『……ごめん』
壁の上まで登ってきた。ジャンとフロック、そしてアルミンが周囲を見張っている。
アルミンは私の姿を見た途端、顔を逸らした。とても怯えた表情をして。
サシャの隣に寝かせてもらい目を閉じる。本来なら寝ていないといけない身体を動かしすぎたせいでまた全身に痛みが走ってきた。
そこからは覚えていない。いつリヴァイたちが戻ってきたのか、どうやってトロスト区まで帰ってきたのかわからない。
次に目を覚ましたら医務室のベッドで寝ていた。全身に包帯を巻かれ、まだ身体は動かせない。
様子を見に来たハンジからあれからのことを聞いた。
ウォール・マリア奪還成功の知らせに民衆は大歓喜。一夜にして調査兵団は英雄となった。
しかし、約200名で出発した奪還作戦で帰還した調査兵はたった10人。その代償はあまりにも大きすぎた。
エレンとミカサは上官であるリヴァイに歯向かうという兵規違反を犯したため懲罰房にいる。アルミンもずっと2人に付きっきりらしい。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
