第51話 成長 ページ2
談笑していたときの空気が一変し、部屋には重苦しい雰囲気が漂っている。
「俺はお前が思っているほどできた兄ではない。見損なっただろ？」
『…そんなことない。利用されてたとしても、調査兵団で色んなもの作れて私は楽しかったよ？』
「いや、ダメなんだ。本当に妹を思っている兄なら、妹を危ない調査兵団に入れたりはしない。兄貴失格だ」
どうしてそこまで自分を卑下するのかわからない。さっきも言ったように、エルヴィンは強くて優しい最高のお兄ちゃんなのに…
『…私が調査兵団に入ったのは、実際に巨人と戦って、巨人に対抗できる武器を作りたかったから。それで人類を守りたいとかじゃなくて、ただ作りたかっただけ。だから私も自分のために戦ってた』
話しながら涙が出てきた。兄として団長としてかっこいいエルヴィンにそんな辛い顔をしてほしくない。
『エレンは巨人への復讐がしたくて、ミカサはエレンを守りたくて、アルミンも海がどうとか言ってるし、みんな目的があって調査兵団に来てる。だから…』
涙を拭ってまっすぐにエルヴィンの青い瞳を見つける。
『自分の夢のために戦ってたのはエルヴィンだけじゃないよ』
Aの曇りなき瞳に見つめられたエルヴィンは目を見開いた。
『上手く言えないけど、みんながそれぞれの夢のために戦うことが、人類の未来に、繋がってるんじゃないかって、思う…』
「A、ありがとう」
泣きながら話すAにエルヴィンは優しくハンカチを渡した。
『それと、私のお兄ちゃんはエルヴィンしかいないって、前にも言ったよ？だから兄貴失格なんて言わないで…』
「ああ、俺が悪かったよ」
年が離れているせいか、エルヴィンにとってAはまだ子どもで、導いてやるべき存在だと思っていた。
しかし、実際にはしっかりと自分の意見を持ち発言できるほどに成長している。
純粋さは残るがそれ故の嘘偽りない言葉に、救われていたのは自分の方だとエルヴィンは気付いた。
「ほら、早く食べないとせっかくの肉料理が冷めてしまうぞ」
『うん…お肉食べる』
再び食事を進めたエルヴィンは妹の成長に幸せを噛み締めた。あのことを言っても大丈夫かもしれない…
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《現在公開可能な情報》
No.25
このあとエルヴィンは義手に仕込まれたフォークで食事をした。Aは無理して使わなくていいと言ったが、内心は使ってくれてるのが嬉しかった。
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わたがし(プロフ) - レナさん» ご指摘ありがとうございます！原作第106話「義勇兵」にて、マーレの兵士が『穢れた血』と表現していましたので、それをそのまま使用しました。紛らわしくて申し訳ありません。『島の悪魔』の方がわかりやすかったですね（汗） (12月7日 12時) (
レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - すごく面白いです！訂正をしていいのか分かりませんが、85話の話で出てくる穢れた血ではなく、島の悪魔なのではないでしょうか？ (12月7日 9時) (レス) @page41 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - 琴さん» 最高だなんて嬉しいお言葉、ありがとうございます！不定期な更新ですが、今後ともよろしくお願いします！ (11月27日 14時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - もう最高に面白いです！更新頑張ってください！ (11月26日 10時) (レス) @page33 id: e939615bba (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - きぬさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますので、今後も楽しんでいってください！ (11月20日 17時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わたがし | 作成日時：2023年11月2日 12時
