第45話 友達 ページ46
店員からうるさいと注意された後、焼きたてのパイが運ばれてきた。
「Aって機械のことばっかり考えてるのかと思ってたけど、意外と僕たちのことも見ていてくれたんだね」
「そういえば兵長も、Aは人より機械にしか興味ねぇって言ってたな」
アルミンがパイを切り分けてくれた。焼きたてのパイからは湯気が出ている。
『確かに機械の方が興味あるけど、みんなのことは大好きだから、同じくらいもっと知りたいって思った』
誰からも返事がない。顔を上げてみると、みんなは顔をほんのり赤くしていた。
『どうしたの？』
「どうしたのじゃねぇよ！自分で何言ってるのかわかってんのか⁉︎」
『わかってるよ？みんなのことが大好きだって…』
「あああああ！そういうとこだよ！」
エレンとコニーが騒ぎ立てる。さっきよりもうるさいかもしれない。
『本当のことなんだけど』
「もう！Aは少し黙っててください！」
サシャから口にパイを突っ込まれた。
「Aの天然さには敵わないね」
「天然超えて鈍感だろ。よく恥ずかしげもなくあんなこと言えるな」
アルミンとジャンが呆れたようにパイを食べ始め、今まで黙っていたミカサが口を開いた。
「それは、リヴァイ兵長に言うべきだと思う」
『何で兵長に？』
みんなはまたポカンとしてしまった。
「マジでそれもわかんねぇのかよ！」
『だって兵長のことは大好きだけど、エルヴィンもハンジさんも大好きだから、何で兵長にだけ大好きって言うのかなって思っただけ』
「やっぱわかってねぇ！つか、大好き連呼すんな！」
「これは本物の鈍感バカですねぇ」
パイを食べ終わり、店を出てから街をぶらぶら歩いた。
普段工房に閉じこもってばかりだったから、こうしてゆっくり街を歩くのは久しぶり。
自前の工具を新調したいと言ったら、みんなは嫌な顔ひとつせずについてきてくれる。
こういうところが大好き。みんなといると楽しい。
太陽が東に傾いてきた頃、兵舎に帰ってきた。兵舎に入っていく6人の背中に向かって呟く。
『みんな、私と友達になってくれてありがとう』
これからもずっと、みんなと一緒にいたい。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
《現在公開可能な情報》
No.24
小さい頃から機械ばかりいじっていて人に興味がわかず、友達は一人もいなかった。初めてできた同世代の友達はヒッチ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はにみず(プロフ) - わたがしさん» どういたしましてです。主人公ちゃんとリヴァイ兵長の両想いが実ると良いですよね！エルヴィンの義手のイメージが、鋼の錬金術師を連想していました(笑)ちなみに私の進撃の推しはミカサとリヴァイ兵長とエルヴィンなんです(笑)無理せず更新してくださいね！ (1月22日 23時) (
レス) id: a327b3fc09 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - はにみずさん» 通勤のお供に楽しんでいただけているようで光栄です！私もこの話を書きながら読み返していたら再度どハマりしてしまいました(笑)応援とても嬉しいです！ありがとうございます！ (1月22日 19時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
はにみず(プロフ) - わたがしさん» どうもありがとうございます。実は進撃の巨人にハマりそうになっている自分がここにいます(笑)仕事終わりに読むのがとても好きで良く行き帰りの電車の中で読んでますよ。引き続き応援してます！ (1月20日 12時) (レス) id: a327b3fc09 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし(プロフ) - はにみずさん» 初めまして！コメントありがとうございます！毎日だなんて嬉しすぎます！！温かいお言葉、とても励みになります！はにみず様もお身体にお気をつけてお過ごしください。 (1月20日 9時) (レス) id: 299a057106 (このIDを非表示/違反報告)
はにみず(プロフ) - 初めまして。初コメです。とても面白くて毎日読み返しています。風邪やインフルエンザが流行っているので、無理せず更新してください！応援してます！ (1月14日 9時) (レス) id: a327b3fc09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わたがし | 作成日時：2023年10月2日 16時
