手当てと ページ6
｢へえ、ずいぶん綺麗に縫われていたんですね｣
ナースが宵一の手に消毒液をつけながら言う
｢さすが院長の息子さんといいますか…｣
｢美原、｣
｢すみません。香宮夜くんがまたここに戻って来てくれるなんて、あまりにも嬉しくて｣
ナースの人…美原さんはその言葉通り、嬉しくて堪らないという顔をする
宵一は院長により、傷を縫い直してもらっているのだが、痛そうだ、とても
｢香宮夜、母さんには会えるか？｣
｢いや、いい｣
｢そうか…それにしても、どうやったらこんな傷つくんだ｣
院長はため息をつき、困惑した表情になる
どう話すものかと考えてみるも、きちんとした回答は見つからない
｢えっと、｣
喜多が声をあげる
｢今俺たち、学校を元の姿に…荒れていない元の学校に戻すために、革命をおこそうとしているんです。それで、武力でしか出来ないかなって思ったので｣
｢なるほど、荒れていない時の天河原か。懐かしいな｣
｢し、知ってるの！？｣
懐かしむように目を細める院長に宵一が勢いよく聞く
｢ああ、知ってるよ。この辺りの子たちがよくうちの病院に来てくれた、ということもあるが、あの学校を創った初代理事長が私たちの仲間でね…｣
初代理事長、パパも言っていた
パパの、元カノ
その人は今、どこに行ってしまったのだろうか
｢それなら、ぜひ頑張ってほしい。エリカのためにもね｣
｢エリカ…さんですか｣
｢うん、さっき言った初代理事長。で、こいつの元カノ｣
院長がパパを指差し、にやにやと笑う
｢で、ひとつ提案なんだけど、怪我をしたらいつでもおいで。簡単な手当てなら無償でやろう｣
｢ホントですか！｣
美寿が目を輝かせる
｢ありがとうございます。これからお世話になります｣
｢いいのいいの、君たちは私の家族みたいなものだから…｣
院長は私と美寿の頭を軽くなでると、次は喜多と宵一に、そして香宮夜にも同じように頭をなでた
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