SPARC

二人の距離（k） ページ6

問題はツアーが始まってから……
ホテルの部屋は
藤ヶ谷と同室

実際問題

藤ヶ谷は……

ウルサイ。

しゃべる
しゃべる
しゃべる

俺の無言も無視して
しゃべる。

甲高い声で。

ムスッとしながら
眠気もあって不機嫌な俺……

急に
『今から面白いことやるから見てて！！！』

いきなり服を脱ぎだし枕を抱え
俺の腕を引っ張り
部屋から引きずり出し

ホテルの廊下を全力疾走し始めた！！！

「…………？！ば！バカっ！！！お前っ！何してんの？！」

止めようとする俺をお構い無しに

『わーーーーー！』
なんて言いながら右へ左へ……

日頃のレッスンで鍛えられた
きれあがったケツが

行ったり来たり……

あまりにもくだらなすぎて
可笑しくなってきた

「ぶははははは！もういいよ！わかった！わかったから！もうやめとけ！ 」

藤ヶ谷は
俺の目の前で
ピタッと止まると

はんざーいして
『北山くんが笑ってくれた！！！！』

抱きついてきた！！！

床に転がる
ホテルの真っ白い枕……

全裸で抱き付く
藤ヶ谷……

まて！変なもんが当たる？！

「ギヤーーー！藤ヶ谷？！テメーー離れろ！服着ろ！前！当たる当たる？！ヤメローーー！」

フッ……と
抱き締めてた藤ヶ谷の腕が緩む

覗き込まれた気配に
藤ヶ谷の顔に視線を合わ…す…

柔らかく
本当に嬉しそうな笑顔で

『えへへ。北山くんが俺を見てやっと笑ってくれた！嬉しい！』

ふにゃっ…って音がしそうな
とろけるような笑顔で
ホントに嬉しそうに言うから

シュワシュワッ
胸の奥から何かが弾け出して
一気にあふれ出しそうな感覚に驚く



身体が熱くなった……



いままでは
気味の悪かったこの感覚が

こそばゆくて
嫌だと思えなくて

混乱し始めた俺の脳みそは完全に
身体機能とのシナプスを遮断した

フリーズしたように身体が動かない

ただ……






藤ヶ谷って

一重じゃなくて
奥二重なんだ…………





なんて思った……



いつの間にか
他のJr.がギャラリー

固まってる俺と
ニヤニヤしてる藤ヶ谷を見て笑ってる


我に返って

「藤ヶ谷！いい加減服着ろ！！！」

騒ぐ俺にまわりは爆笑

『はーーい！』
なんて呑気に返事して
満足顔で部屋に戻る藤ヶ谷……

ホッとした

ヤツなりに
俺とコミュニケーションとろうと
必死だったと思い至ると

また
からだの奥からシュワッと
小さな泡がせり上がって来た


「なんか……可愛いヤツ……」
ふふって自然に笑みがこぼれた


胸の奥が
もう一度

シュワッとした

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