SPARC

天泣………（y） ページ44

だんだん後ずさる4人をよそに

『北山………スッゲー心配したんだぞ……お前……横付けされた車に連れ去られたって………』

太輔はいまだに呆然としてるミツの手を
握り締めてる

恭平が立ち上がり
エセ外人みたいに
両手を上げて肩をすくめた

〔仔猫保護したって………ふざけんな！弱ってるミツに手ぇ出すなんて見損なった！！！〕

恭平は何も言わずに
真っ直ぐ俺を見つめてる

だんだん自分の方が
悪い気がしてきて
悔しくなる……

ふ…と
頬がこそばゆい気がして
強く握りしめていた拳の甲で
乱暴に擦ったら
濡れいて

初めて
自分が泣いてることに気付いた

〔何で黙ってんだよ？！言い訳ぐらいすればいいだろ！〕

カタンッと音を立てて
ミツが立ち上がった

「違う…横尾さん……違うよ！俺が！…俺がね！恭平に寂しいから慰めてって言ったの！ソファでのことだって！俺がよろけたのを支えてくれたけど！結局ひっくり返ってたまたま………」

〔だから！！！ミツには聞いてないって言ってるだろ！！！〕

ミツがでっかい目を更に見開いて
みるみる涙がたまって……
溢れそうになるのが見えた……

最近
俺らの出演してる番組を見ながら
ミツのこと、可愛いねって言ってた…
勿論……玉はかっこ良くなったなあ！
宮田…少し落ち着いたね……
千賀も二階堂も大きくなったね……とかも言ってたけど………

正直……ミツが可愛いねって言ったのは
どこかで引っ掛かってた
同い年だから？
実在ミツは……昔より……可愛いもん……
あの時にしかできない
ギラギラした時期に比べたら
ホントに可愛いもんね……

だから
恭平に組み敷かれて
満更でもなさそうにしてるのを見て
凄く焦った

自分の方が
捨てられるって思った………

いつも冷静でいなくちゃって
思ってたのに
簡単にストッパーが緩んだ

浅く喘ぐような呼吸を懸命に
押さえようとすればするほど
苦しくて………

衝撃的すぎたんだ……
理由なんてホントはいらない
言い訳が聞きたい訳じゃない……

ただ………恭平のその腕が俺以外を
抱き締めてる……

ただ…それだけの事が………
そんな事が………有り得るんだってことを……
見せつけられたようで…

頭の先から爪先まで
一気に飽和状態になった……

恭平にどうしてほしいとか
自分がどうしたいとか
わからなくなって
ただ………体を震わせて……涙を流す……
そして……そんな自分を自分自身が
理解できなくて……
立ち竦んでいた…

恭平が俺を抱き締めても
指一つ動かせず……

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