SPARC

移り香………（k） ページ42

「あの人と同じ香りがする………」

《ん？誰の？》

「俺の好きな人の恋人………」

《………………北山君の好きな人の……恋人？》

コクンと頷いて
男の顔を見上げた……


まるでソファーに押し倒されたような体勢で
そのまま彼の胸に鼻をくっつけて
クンクンすると

彼は少しくすぐったそうな仕草をした……




「恭平も横尾さんと会ってるの？移り香するほど………」

《何でそう思うの？》

「いい香りだねって…試させてもらったのに……俺が着けたら全然違ったんだ……あれは…横尾さん自身の香りと相性がいいんだね。」

《………んふふ。俺が選んだんだよ。渉は俺のだからって束縛するための香りなんだ……調香師さんに作って貰った……完全オリジナル。鼻炎持ちの癖に良くわかったね？》

少し目の奥がキラリ……と光った気がして
背筋がゾクッとした……

「え……？………あ……だって撮影で密着することあるでしょ？その時………いい香りだなっ………て………」

つい……聞かれてもいないのに言い訳をした……




《そっか。………ちょっと安心した…………ふふ！あのね…渉は俺の恋人。》





？！！！…だって……だって…藤ヶ谷は………？
なに？何言ってんの？

「え？何言ってんのかよくわからない………」


じゃあ………藤ヶ谷は？

《ごめんね北山君……俺が頼んだの…渉は結構モテるんだよ…心配だから悪い虫付かないようにしといてって……それで太輔が選んだのがあの方法。わたたい？だっけ。俺もたまに……腹立つんだけどねぇ……………太輔……案外不器用だからね…》

呆然って………こんな感じ？

「だって……俺……アレ？……」

混乱した
だって…俺は…何で……こんなに………
傷ついてんの？
泣きたいくらい………苦しくて……
何で
恭平に抱きついて………


抱いて………とか……抱き締めて……とか
甘えてんの？………
ふああああ！！！！
恥ずかしい
恥ずかしい
恥ずかしい！！！！
「ちぇ！なんだよう…！意地悪！！！恭平のばーか！…横尾渉のばーか！……いでっ！！！」

《コラ！渉はバカじゃないよ？！》

笑いながら
おでこをパチンとたたく恭平は
すごく柔らかな笑顔で
俺を見つめていた………

《………ごめんね。北山君……》









〔………ねぇ………なにしてんの？〕




ソファで
抱き合う俺達の頭上から

背筋が凍る声音が
囁いた………

ジェラシー（y）→←誘拐犯？（y）

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