246 ページ46
心配したか、なんて彼らしい質問ではなく
少し黙る私にゾムさんはただじっと見つめてきていて
前髪から離れた指が、ゆっくり下に移動し
彼の指が私の頬を撫でる
あの凶暴且つ横暴のゾムさんもこんな触れ方出来るのか……
と驚いていたのは束の間
ドンッ背中に誰かがくっついて来た感覚
勢いがいいせいでゾムさんの上に倒れ込んでしまう
倒れ込んだ私に驚いた彼だったが、私の背後にいる人間を見て「ッチ」と舌打ちをした
「なぁにしてん?」
『う、鬱さ……重い』
「邪魔入ったわ」
「ゾム?そろそろほんまに怒んで?」
「……お気に入り被っちゃいけないなんて決まってへんやろ」
「人のもんに手を出すなや」
「Aは大先生のものやないやろ」
私から離れた鬱さんはゾムさんと喧嘩のようにバチバチしていて
巻き込まれないようにと少し2人から距離を取り、小さくため息をついた
……心配、した?
ゾムさんの言葉が頭を回る
ジワジワと胸の中を侵食するこのモヤモヤはなんだろうか
『あの、ゾムさん』
ギスギスしてる2人を見てから、ゾムさんに声を掛ける
ピタリと止まった声
私を見て不思議そうな顔をした鬱さんとは変わって、ゾムさんは心做しか私の言葉を待っているような気がした
『ゾムさんは強いから、心配とかあまりありませんが……帰ってきてくれてホッとしました』
「ちょっ……Aちゃん?浮気?え?許さんよ?」
目の前でうるさい鬱さんをスルーしてから、ゆっくり言葉を出していく
……鬱さんにも言ったけど
『…えっと……おかえりなさい』
少しこの言葉を使うのはまだ照れる
自分の頬が熱くなったような
私の言葉にゾムさんは固まり
鬱さんはすぐさま私の隣に来て「Aちゃん?なぁ?」と顔を覗き込んでくる
黙ったゾムさんは顔を下に向けて小さく口を開き
「……………た、ただいま」
と返事が聞こえてきた
あのゾムさんが照れている
明らかにそれがわかってしまった
イケメンってずるい
812人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はちまる(プロフ) - しにーさん» コメントありがとうございます……!!!これから夢主ちゃんがどうなっていくのかお楽しみにしていただけたら幸いです……!!!これからもよろしくお願い致します! (2020年3月30日 19時) (レス) id: 1addced01b (このIDを非表示/違反報告)
はちまる(プロフ) - なまえさん» コメントありがとうございます〜!!!とっても嬉しいです…これからも頑張りますので応援よろしくお願い致します!! (2020年3月30日 19時) (レス) id: 1addced01b (このIDを非表示/違反報告)
しにー - 今回もおもしろかったです。よんでると時々心がモヤモヤしてどうなるんだと思わされるところがあります。 (2020年3月30日 11時) (レス) id: 3b7279c343 (このIDを非表示/違反報告)
なまえ - 続編おめでとうございます!!今回も楽しく読ませていただきます!応援してます!(*´ω`*) (2020年3月28日 18時) (レス) id: 9acd939800 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ