【w.r.w.r.d!】どうやら彼の愛は重そうです

238 ページ38

ふわりと香った香水とタバコの匂い

優しく私の頭を撫でた鬱さんは
「そのまま軽く吸って？」と声を出す



ゴクリと鬱さんの喉で音がして



食われそうな気がした私はビビりながらも『ちゅ……』と軽く吸い、すぐに顔を離した




『ま、満足ですか！！！！！？』
「……付いてへんやん、ほらほら付けんと終わらんよ」

『いや、付かな「はいもう1回」っ……も、いい…！！』
「良くない」





再度近づいた体
下手なもんは下手なんだ
と言い聞かせたい

腕にやる？と聞かれたが、そういう問題じゃない



勢いよく、そうだ
勢いが大切だろう私よ


次こそ、と彼の鎖骨に再度頭を落とし
出来る限りで吸い付けば「っ」と彼の口から吐息が漏れる



……いやアウトだよ！？！？！？



顔を上げ彼の鎖骨を見ると小さいながら赤い花が咲いていて
自分でも出来るんだぞ、とばかりに彼を見る




『で、できまし「っ、は……ええな、ホンマに…」へ、ぇ…？』




彼の上に乗せていた体重は私の方へ

ドサッと私を押し倒した彼の目は、優しくはないギラギラしていて
頬は赤く、息は熱い



驚きのあまり体が固まる



『鬱、さん…？』と彼の事を見たと同時に、自分の腹部にヒヤリと空気が入り込むのがわかった

服をまさぐるその手を止めるように両手で押さえ、首を横に振る



「っ、ちょっとだけ…な？」
『だ、ダメです…』



「……逃げないAちゃんが、悪いんやで」




逃がしてくれないのは、どっちだ

239→←237

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す