赤桃色の日常 (ページ1)

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藤ヶ谷の部屋① ページ1

(北山Side)

時間がない。
今日中には藤ヶ谷とのユニット曲をある程度決めなければならなかった。

お互い口には出さなかったがFIREを超えるものを作りたいという気持ちがあったのだろう、明日が締め切りだと言うのに、テーマはおろか曲すら決まっていなかった。

窓の外は雪がパラパラと降っていた。

「どうすっかなー。藤ヶ谷なんかある？」

藤『うーん。バラード調もやったし、& sayみたいな感じのもやったし、挑発的な感じもやったし。これといって………』

悩んでいるとマネージャーが部屋に入ってきた。

マ「北山さん藤ヶ谷さん。関東に大雪注意報が出ました。このままでは、帰宅出来なくなる可能性があるので、お二人の家に今のうちに送っていきます。」

まだ、全然決まってないのに……。
明後日から俺は映画の撮影があるし、藤ヶ谷は舞台稽古がある。
なんとしても、今日中に決めて、明日のメンバーとレコード会社とのアルバム打ち合わせまでには、曲を選出したい。

藤『とりあえず何曲か持ち帰って、家でも聞いてみるわ。』

「そうすっか。決めなきゃだしな。」

藤『明日までってのがなー。なんか思いついたらLINEして。』

LINEて面倒なんだよな。
送り手と読み手で解釈がズレたりするから、かえって話が進まないときがある。

こんな時、相手が二階堂なら家で打ち合わせの続きをしようって言えるんだけどな。
藤ヶ谷だからなー。
絶対来ないよな。

藤『………やまっ。北山っ。車、準備出来たって。』

「……っ/// わりー。ボーッとしてた。」

藤『どした？』

「…………やっぱさ、まだ話し合わない？」

藤『いや、だって、雪ヤバくね。』

　
悩んでる場合じゃない。
現に締め切りが迫ってるんだ。
俺は意を決して、あいつに家での打ち合わせを提案することにした。

「あのさ、うちでつ………」

藤『あっ、うち来る？』

「へっ？」

…………想定外。