【銀魂】打ち上げ花火【3z】

七夕と昔話 ページ28

時間は遡り、ある日の出来事。




「今日は何の日だ？」


「知らん」


「次」


「ゾロ目記念日」


「何か違う」


「年に一度ベガとアルタイルが会える日」


「合ってるけど普通に七夕って言おうか」




そう。今日は七月七日。
つまり七夕である。
勿論七夕なんぞ祝う様な年齢でもないので祝わない。




「じゃあ何のための七夕ネタだよ」


「子供の頃の回想を入れたい」


「諸事情は暴露するスタイルかよ」


「諸事情？何それ美味しいの？って事で回想どうぞ！」






そう。あれはいつ頃だったか。
確か…中学校最後の夏。


その時の七夕の夜は綺麗な星空になりそうだった。
だから、皆で星空を見に行こうと私が誘ったのだ。

誘ったのはいつもの三人と、神楽、お妙、新八、沖田、土方、だった筈。


夕暮れ、自転車を森の開けたな場所まで飛ばし星が綺麗に見えるのを待とうとした。



その途中開けた場所まで行く道中で私が迷子になってしまったのである。


もう辺りはすっかり暗くなり前も後ろも分からないのだ。更に急な雨が降りだす。


訳も分からぬままにひた走り、着いたのは古びた神社。
一応手入れはされているが、夜になると人が居なくなるらしい。

何でもいいから、安全な場所で雨宿りかしたい。私は神社へ入って行った。


ごうごうと酷くなる雨と雷。

その音に思わず驚いてしまい、私に恐怖が植え付けられた。


動けない。怖い。誰も来ない。




「助けて…」




呟いても直ぐに掻き消される声。

届かない。どんなに嘆いても、助けを呼んでも、誰にも届かない。


恐怖からか涙が溢れ出る。
ポタポタと床に水滴を垂らす。

怖くて動けなくて。

きっと皆今頃は帰っちゃってるんだろうなぁ…


すると、戸が開き誰かが入ってきた。
しかしその姿は暗くてはっきり見えない。




「誰？誰なの？」


「大丈夫か？」




その男の子は××だった。

それは覚えている。
だが、男の子が言った言葉が思い出せない。名前も。顔を思いだそうとすると靄がかかる。




「××は大丈夫なの？」


「俺は×××××。それより××××××？」


「うん…ちょっと寒い。」


「これ。Aに。」




そう言って差し出されたのはタオルケット。それを被せられる。




「…！ありがとう。」


「×××××××。」


「あっ、××も、くしゃみしてるじゃん。やっぱり××が掛けなよ。」


「じゃあ、こうするか？」




抱き締められる。
そいつの体は冷えていて、他人を心配している様な状況では無かった。

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