蛇の目 ページ18
「雨、止まないね。」
「そうだねィ。」
プツリと切れてしまう会話。
何を話そうかと話題を探すが何もない。
どうしてか緊張している。
「あのさ、…暑いね。」
「そうだねィ。」
そこで途切れてしまう。
沖田のヤロー何か話題を私に振れよ。
気まずいじゃないか。
何を言って良いのか分からないんだよ。
「気まずくない?」
「そうだねィ。」
「いい加減にしてもらえますか?その返事。何か話題を振ろうと思ってやってるのにどうしてその話題を発展させないの?」
「そうだねィ。」
ダメだコイツ。私の話なんて何も聞いちゃいない。上の空か。何処を見ているのやら。ぼーっと空ばっかり眺めて。
「おーい、聞いてますか?」
「そうだねィ。」
「変態サディスト!サボり魔!何か無駄にイケメンで頭良い!」
「最後のは誉め言葉じゃねェのかィ?」
「やっと会話してくれた。」
「俺はアンタと会話すんのが面倒なだけでィ。別に無視してた訳じゃねェでさァ。」
「沖田君。それを世間では無視と言うのだよ。」
「知ってまさァ。」
「知ってるなら言うなよ…」
多少弾んだ会話も直ぐに終わりを迎え、雨の音だけが煩く響く。
そんな状況を打ち破ったのは二人のうちのどちらでもなく、雨宿りさせて貰っていた店の店主だった。
「お二人さんはカップルかい?」
「いえ、違いますよ?」
照れながらも否定すると、お婆さんは、「そうかい」と笑いながら頷き
「あんた達、傘は持ってないのかい?」
「えぇ。なので少し雨宿りさせて頂いてました。」
「傘貸してあげるから仲良く二人で使いなさい。ごめんね、傘は一本しか無いんだよ。」
と、手渡されたのは昔ながらの蛇の目の傘。
それを私に渡すと、お婆さんは店の奥へ引っ込んでしまった。
またも雨の音だけが響く静寂。
「はい、沖田。これで帰りな。」
「いいのかィ。んじゃ、お先に。」
あっさりと受け取った沖田は自宅のある方向へ消えてしまった。
さて、私も帰ろうかな。これ以上ここに留まっていては店に迷惑が掛かる。
意を決して雨の中へ走り出した。
先程より酷くなっているせいか、より一層寒気がする。
早く帰らなければ。そう思った矢先に信号に引っ掛かる。土砂降りの中、信号を待っているだけでも相当体力を消耗するらしい。
どういう訳だか、私の上だけ急に雨が止む。
横を見てみると確かに先程帰った筈の沖田が私に傘を差している。
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ミンティア - この度二巻が完結致しました。 是非、次の巻も宜しくお願いします。 (2017年8月1日 23時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - カカオさん» 映画館が遠いんです…映画館がこちらに向かって歩いて来ませんかね?面白いと言われると尚更気になりますね…いつかは見たい、と思ってますハイ。 (2017年7月30日 18時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
カカオ - 映画今日見に行って来ましたよーーー!!(≧∇≦)すごく面白かったです!隣でいとこが爆笑してましたwミンティアさんは見に行くんですか? (2017年7月30日 18時) (レス) id: d7fde592f0 (このIDを非表示/違反報告)
ミンティア - ピピコさん» ご報告ありがとうございます!私もログインしたいです。何をどうすれば良いのかさっぱり分からないんですよね…お、お、お気に入りですか!?ありがとうございます!恐縮です!お互いに頑張りましょう! (2017年7月28日 23時) (レス) id: bb20e7ebdc (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - いつもありがとうございます!言わずには居られませんでした…!!私この度ログインなるものを果たしまして、ミンティアさんのこの作品をお気に入りにしちゃいました!なので更新されたらすぐに見にこれます^^ これからも頑張ってくださいね! (2017年7月28日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミンティア | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mintixia/
作成日時:2017年6月25日 19時