愛と感謝 (ページ27)

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「いらっしゃいませー」

店内には俺の他に若い男女数人がもう1組、カゴに酒だのお菓子だのを入れながら深夜のシンとした店内にキャッキャと甲高い笑い声が響き渡る。

俺はそいつらに気付かれないように足早で酒を買い、すぐにコンビニを出た。

深夜ならではの静かな街並みと、ひんやりとした夜の空気が肌に触れ、酒で火照った身体が冷えて気持ち良い。
自宅までの僅かな距離だが、徒歩で帰るなんて久々で、ムシャクシャしてた気持ちも少し気が紛れた。

「…………しょお？」

「…え？…廉？」

突然声を掛けて来たのは、聞き慣れた廉の声だった。
まさかこの辺りに廉がいるなんて思ってもなかったから、驚いた。

「…おま、何でここにいんの？！」

「…いや、友達んちがこの近くやねん」

「あ、あぁそういう事…」

廉は友達の家から帰宅途中だったらしい。
俺の家に来てくれたのかと、一瞬期待した自分がいたけどその期待は呆気なく終わり、まぁそりゃそうだと自分自身を心の中で宥めた。

「………今日、行けなくてごめん」

少しトーンの下がった声で、廉が言った。
今日のメンバーとの飯の事、気にしてたんだ。

「…先約なら仕方ないよ。急だったし」

「……おん、でも…」

「友達って、大学の？」

「…そう」

「……この辺、大学生多いのな。さっきコンビニでもいたよ、若いやつ。
…って、俺も若いやつか！」

ははは、と笑って見せるが廉は気まずいのか、少し口角を上げただけだった。
それ以上を語らない廉に、何故か気を遣って他の話題を探してる俺がいて、心の奥のもやっとした感情が再び出てきたのが分かった。

ああ、これは俺が知ることのできない廉だ。

「……しょおの家、近いん？」

「…え、ああ、すぐそこだよ」

「……少しだけ、行ってもええ？」

「へっ！？」

まさか廉からそんな言葉が出てくるとは思わなくて、腑抜けな声を張り上げてしまった。

「…都合悪いならええよ、ごめん突然」

「…い、いや、大丈夫だけど」

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