隣り合わせ ページ26
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【隣り合わせ】
「…んじゃお疲れー」
「あ、廉！これからみんなで飯行くんだけど廉も行くよね？！」
「あー、ごめん海人、今日先約あるねん」
「えー！何だよ、せっかくみんな久々に会ったのにぃ」
久しぶりの、メンバーとの仕事。
海人の提案で、終わったらみんなで飯に行こうという話になった。
いつものように廉はそそくさと準備をして誰よりも早く帰路につこうとしていた所だった。
悪いねー、と言いながら振り返らず手を振る廉は、俺たちのいる楽屋を後にした。
「ちぇ。みんなで行けると思ったのに、廉のヤツ」
頬を膨らませてふて腐れる海人は、きっと誰よりもメンバー全員が集まる今日を楽しみにしていたんだろう。
「廉も現役大学生だからね、忙しいんだろ」
神宮寺がすかさず海人にフォローを入れる。
まだ不服そうな海人だったが、気を取り直したのか、早く行くよ！と俺たちに準備を急かす。
(……現役大学生、か…)
廉とは、10代の頃からずっと一緒にいたけど、 大学に入学してからは少しだけ付き合い方が変わったように思う。
まぁ、大学での友達だったりいろいろあるんだろうけど、"現役大学生"の廉は、俺の知らない廉だ。
「ちょっと、紫耀！なにボーッとしてんの。早く行くよっ」
海人に背中をバンバンと叩かれて我に返り、荷物をまとめる。
そして廉を除いたメンバーで、焼肉に行って食べて飲んで、予想以上に盛り上がった俺たちはカラオケにまで行ったのだった。
メンバーといるのは凄く楽しい。
仕事仲間だけど、友達のようで。
ここは俺の居場所なんだって、再確認出来る。
でも。
やっぱり隣に廉が居ないのは、寂しい。
***
カラオケでみんなと解散して、家の近くのコンビニに寄った。
廉は今、俺らとは全く関係のない同年代のヤツらと一緒に過ごしてんのかなとか、考えてたら何だかムシャクシャして、もう少し飲みたい気分だった。
そんなに酒強くないけど、ヤケ酒とかいうやつ。
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作者名：moca | 作成日時：2020年2月16日 12時
