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その純愛ラブストーリーは、恋人が病にかかり、病と闘いながら愛を育んでいく、といった内容だった。
しかし最後はハッピーエンドにはならず、主人公への同情と共感が、きっと視聴者の涙を誘うんだろう。
俺はもともと涙を流す方ではないので、感動はしても泣くことはないのだけれど、ちょうどエンドロールが流れ始まった頃に頭の上にいる紫耀をチラッと見上げてみる。
「………え、しょお泣いとるん？」
「……泣くやろ普通に…」
頭上にいる愛しい人は、鼻を啜りながら感動して涙を流していた。
またそれも意外で、微笑ましくて自然と口元がにやけてしまう。
「…ほら、ティッシュ」
「……これで泣かない奴、お前くらいじゃねーの…」
「いや、俺やって感動したよ。ええ話やったなぁ」
紫耀はティッシュを受け取ると鼻を思い切りかむ。
飲んでいた酎ハイの缶はだいぶ軽くなり、残りを一気に飲み干す。
最後の方はいつもアルコールを強く感じて、あまり美味しくない。
いつの間にか時計の針は深夜1時を指していた。
程よく酒も回り、ほろ酔い状態。
少し手を伸ばせば、愛しい人。
この心地良い時間の為に俺は生きてるんじゃないか、と錯覚するほど。
「……れん、」
紫耀が覆い被さってきて、静かに身体がソファーに沈む。
もともとのハスキーが更に掠れ、色気が増したその囁き声に名前を呼ばれて、一瞬で身体がゾクッとした。
そのまま口付けられ、俺もそれに夢中で応える。
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作者名：moca | 作成日時：2020年2月16日 12時
