これからはあなたが

Record63 ページ23

羽「落ち着いた…？」

「はい…ｽﾞﾋﾞｯ すみません…」

羽「気にしないで」

助手席に座っている彼女は腫れぼった目をさすりながら答えてくれる。車に来てから約1時間、彼女は泣き続けた

「ほんと、すみません…」

羽「大丈夫だからそんなに気にしないで？」

「……」

羽「…Aちゃん？どうしたの？」

「…その…迷惑ついでに言うんですけど…」

羽「なに？」

「連れて行って欲しい場所があるんです」








そう言って彼女が行った場所。前に一度、一緒に来た場所だった

羽「大丈夫？寒くない？」

「ちょっと肌寒いです。あと登ってくるのに疲れましたね(笑)」

羽「…どうしてここに？」

「…この場所、私が悩んでる時に来るって言ったじゃないですか。その思い出を変えたいなと思って…」

羽「え？」

「こんなに綺麗な景色が見える場所なのに暗い気持ちの思い出しかないって勿体ないじゃないですか」

羽「…そうだね」

「…だから、今日で最後にします。この場所で暗い気持ちになるのは…今日で、最後…」

前を向いている彼女の表情は見えない。でも何かを覚悟したのはその口調からわかった。

羽「Aちゃん」

「羽多野さん。好きです。あなたのことが、好きなんです」

振り返った彼女はまた目に涙を浮かべ、とびきりの笑顔で言う。そんな彼女を俺はいつのまにか腕に収めていた

「羽多野さ…」

羽「そんな顔されたら我慢できなくなる。本当に俺でいいの？」

「はい。羽多野さんがいいんです」

羽「女の子にそんなこと言わせるなんてカッコ悪いね…俺…」

「そんな所も好きですよ」

羽「…あぁもう！！俺も好きです。俺と、付き合ってください」

「こちらこそ、よろしくお願いします(ﾆｺｯ」

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