これからはあなたが

Record61 ページ21

羽「よかった！Aちゃんが退院できて！」

拓兄が支払いに行ってる間に荷物をまとめ部屋を出た。久しぶりに普通に歩く感覚がした

「ありがとうございます」

羽「そうだ。また今度出かけない？Aちゃんの行きたいところに連れて行くから」

「本当ですk」

？「A……」

「っ…！？」

その声は私を畏怖させるのに十分なものだった。あの時も聞いた声、私に災厄をもたらす声だ

男「まだそんな奴といたの？」

「は？」

男「やっと俺のものになったのに…」

羽「あんた誰だ？」

男「A、そんな奴と一緒にいるくらいなら俺と一緒にいようよ」

「……」

私は羽多野さんの袖を掴み静かに首を振った

男「どうして？俺だったら君のことを守ってあげられるのに」

「来ないで！」

男「…A」

「あなたに興味はない。知りたくもないよ」

男「俺を選ばないなんてお仕置きだね」

「え…？」

彼は懐に手を伸ばし光るものを取り出す。その先端は私…というより羽多野さんに向いていた

「何する気っ…」

男「君が俺のものにならないなら、君の目に移る奴を消せば君は俺のところに来るだろう？」

「やめろっ」

男「ダメだよA。これは君がもたらした結果なんだから」

「羽多野さんに近づかないで」

羽「Aちゃん…」

私は自然と羽多野さんの前に出ていたはずなのに、彼は私を腕の中におさめ後ろに下げた

「はた…のさん？」

羽「女の子に…Aちゃんには守られるのは嫌だな。好きな人の前ではカッコよくなきゃ」

「…！！」

「Aに…Aに触れるな！！」

「っ…！！」

目の前のやつはもう正気ではない。理性を失い衝動だけで動いているような人間だ

羽「Aちゃん、俺の後ろに」

「ダメです！」

羽「大丈夫だから。ね？」

「羽多野さん！」

男は一直線に走ってくる。私は怖くて足がすくみもう彼と逃げることは叶わない。
鈍っていた頭を必死に回しこの状況をどうにかしようと考える。

どうすればどうすればどうすれば…!!

もうなんでもいい。神さま、彼を助けてください


？？「「A！羽多野さん/くん！！」

「え？」

カランっ

軽い金属音が聞こえ目を開けるとそこには蒼に取り押さえられた男と、いつのまにか近くに拓兄がいた

「拓にぃ…あおい…なんで」

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