韓国人彼氏のスンさん２ (ページ17)

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「こんにちは、お姉さん！」

突然話しかけられて、

驚きのあまり、声にならない声が出た。

ショッピングモールの1F

遠くに見える

目的の雑貨屋さんをぼーっと見つめながら

新しくできたケーキ屋さんの前を

通り過ぎるところだった。

目の前に、爪楊枝にささったチーズケーキが現れた。

大きな体を低くかがめる、

コック帽を被り

シェフの制服を着た、男の人。

「おいしいですよ。食べませんか？」

かたことの日本語に、

外国人だ、とすぐに気づいた。

驚いた拍子に
自分から出てしまった声が

おもしろくて、はずかしくて

つい、笑いが止まらなくなってしまう。

そんなわたしを見て、店員さんも

細いつり目をもっと細くして笑う。

うまく乗せられて

チーズケーキを買ってしまったわたしは

目的の雑貨屋さんにも行かず

屋上のテラスへ向かう。

わたしが、考えごとをする場所。

頭の中がごちゃついたときに

綺麗な空を見ながら

自分の考えをまとめるための場所。

だけど、今日は考えがまとまりそうにない。

足取りが軽い。

自分が浮いているみたい。

頭から離れない。

細い目をもっと細くして

心の底から爆発するように笑う、

あの、わんちゃんみたいな笑顔が

とびきりやさしいつり目が

高い、引き笑いの声が

笑ったときに目を持ち上げる、

もちもちの白い頬と

桃色の薄い唇が

ケーキを渡されるときに数秒触れた手は

すごくあたたかかった。

いつも見ている夕焼けの空が、いつもと違う。

新しくなったように感じる。

一目惚れしちゃった。

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韓国人彼氏のスンさん

end

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