22話 ページ22
「Aちゃん、坂田さん今日は色々付き合ってくれてありがとうございました」
『こちらこそ、ありがとう。久しぶりに楽しめたよ』
「それじゃ姉上、僕はこれで」
「あっそーちゃん」
「……あの人は」
「野郎とは会わせねーぜ」
「今朝方もなんにも言わず仕事に出ていきやがった。薄情な野郎でィ」
沖田はそう吐き捨てた。
残されたミツバは、微妙な感じで口角を上げる。
何やら複雑そうなその表情に銀時はダルっぽく銀髪を掻き、「オイオイ」と文句を垂れた。
「巻き込んどいて勝手に帰りやがった」
「……ごめんなさい。我儘な子で
私のせいなんです。あの子に寂しい思いをさせまいと甘やかしたから」
『………』
「身勝手で頑固で負けず嫌いで。そんなんだから昔から一人ぼっち……。近藤さんに出会わなかったら今頃どうなっていたか」
「今でもまだちょっと恐いんです。あの子、ちゃんとしてるのかって。ホントは貴方も友達なんかじゃ」
「アイツがちゃんとしてるわけねえだろ」
「ロクなもんじゃないよあのクソガキ。一体どういう教育したんですか」
「……」
「友達くらい選ばなきゃダメだ。俺達みたいなのとつき合ってたらロクな事にならねーぜ、おたくの子」
『ねえ、待ってなんでそこに私も入れるの?』
「……ふふ。
おかしな人。でも、どうりであの子がなつくはずだわ
なんとなくあの人に似てるもの」
『あの人?』 とAが問うその前に、脈絡なく背後にとまったパトカーから黒い影が降りてきた。
「てめーらそこで何やってる?」
真っ黒なそこが照らされ、端正な顔立ちが浮き出る。
「この屋敷の」
────。ミツバと土方の、二人の呼吸が止まった。
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作者名:らんちゃん | 作成日時:2021年1月24日 8時